美容・健康
早乙女智子医師×福田和子氏対談(後編)

「日本女性は恐ろしい状況にいる」避妊の選択肢が示す“女の人権”とは?【早乙女智子×福田和子対談】

2019/07/16 17:00
千葉こころ

表1 出典:Trends in Contraceptive Use Worldwide 2015より #なんでないのプロジェクト調べ
表2 出典:Trends in Contraceptive Use Worldwide 2015より #なんでないのプロジェクト調べ

――日本では最もポピュラーな避妊法なのに、避妊効果がこんなに低いんですね。

福田 2015年にWHOが発表したTrends in Contraceptive Use Worldwide2015を参考に、現代的避妊法が用いられている場合、どういった方法が使用されているのかを円グラフ化(表1)すると、世界的にはIUDや避妊注射、避妊インプラント、ピルなどいろいろな避妊法に分散している様子がわかります。しかし、日本だけに絞ったグラフを見るとほぼコンドーム一色。さらに、同資料を元に作成した、現代的避妊をする場合の男女主体率を表す棒グラフ(表2)では、日本だけ男性主体率が90%以上になっています。

早乙女 恥ずかしいですよね。確実な避妊法がいくつもある21世紀に、旧態依然として20世紀の避妊法にしがみついている理由がわからない。「男性も避妊に責任を持つべきだから、コンドームを使う」と言っている人もいるけど、それはもう「勝手に使え」って話で、女性が“自分”で避妊を考えることとはまったく別の話。それに、男性が避妊することについては「どうぞ」と思いますが、決して女性がお願いするものじゃない。私たちは自分で自分を守る選択を、確実な選択肢の中からすればいいんだから。

福田 日本は「男の人が避妊をしてくれる素敵な国」っていう考え方の女性もいるけど、逆を言えば、男性が最後の最後で避妊をしないって決めたら、女性はどうしようもないという脆弱性があるんですよね。そもそもコンドーム自体の成功率って一番下なわけじゃないですか。そう考えると、日本女性は恐ろしい状況下にいるよな……と私は思います。女性が主体的にライフプランを組んで、キャリアを積んでかつ家庭やパートナーを持つことって難しすぎますよ。

――産婦人科の現場感覚でも、日本ではコンドームの使用者が大半だと感じますか?

早乙女 カップルでも夫婦間でもコンドーム。ある程度クローズな関係であれば、性感染症のリスクも少ないので、コンドームより“確実”な避妊法を取り入れたほうがいいと思います。リサーチしてみたところ、コンドームを“好き”で使っているという人はほぼおらず、みんな「なんとなく」とか「ほかに方法がないから」という理由で使い続けているようです。

――ピルやIUSという選択肢にはつながらないんですね。

早乙女 特にIUSは、子宮の中に入れるのが怖いという人が結構多いんですよね。でも、ピアスも開けるし、コンタクトも入れるのに(笑)。それに、“みんな”コンドームだからという人もかなり多い印象です。でも、あなたの人生において、どんな仕事をするか、どんな人とお付き合いをするか、どのタイミングで子どもを持つかなど、全部含めて考えたときに、「あなた」のその避妊で、「あなたの人生完結しますか?」 ということを本当に聞きたい。仕事だってみんな違うんだから、避妊法だって“人それぞれ”でいいはずです。「あなたはどうなんですか?」と聞かれたときに、「私はね」と言える女性になってほしいと思いますね。

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