サイゾーウーマンカルチャーインタビュー精神科医が語る引きこもり カルチャー インタビュー 精神科医が語る「引きこもり」に見られる6つの精神状態と、「犯罪者予備軍」の論調が危険なワケ 2019/06/24 17:30 サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman) インタビュー社会 「自立」「就労」という言葉で追い詰めすぎないで 片田氏は、引きこもりの当事者に「自立しなさい」「仕事をしなさい」と言うことも、「彼らを追い詰めてしまう可能性がある」と指摘する。 「精神科医としての長年の臨床経験から言って、10年以上引きこもり状態にある40~50代の方が再び就労するのは、極めて難しいと感じるところはあります。もちろん、みんながみんなそうではなく、就労を目指して頑張っている人もいれば、実際に就労できた人もいるでしょう。私もそうなってほしいとは思うのですが、現実問題としてはかなり厳しい。何としても自立や就労を目指そうとすると、本人に大きなプレッシャーがかかる恐れがあります。ですから、引きこもり状態を続けながら、経済的な問題をどうするのかを考えていく方が現実的ではないでしょうか」 また、追い詰められるのは当事者だけではない、その家族も同様だ。熊沢容疑者が息子を殺害した事件は、まさにその象徴のように見える。 「家族を追い詰めること自体も問題ですが、そもそも熊沢容疑者は、子どもを自分の所有物と考える『私物的我が子観』の持ち主だったのではないでしょうか。だからこそ、『自分の子どもなんだから、自分で始末すべき』と考え、犯行に及んでしまったわけです。こうした『私物的我が子観』の親を追い詰めると、我が子を道連れにした無理心中を誘発しかねません。また、もしかしたら熊沢容疑者のご家庭では、『いい学校を出て、いい会社に入ること』を良しとする勝ち組教育を行っていたのかもしれません。勝ち組教育が行き過ぎると、一度つまずくと立ち直れなくなり、子どもも親も追い詰められてしまいます」 引きこもりの当事者も、その家族も、決して追い詰めてはいけない――片田氏は繰り返しその重要性を口にしていた。内閣府が今年3月に発表した調査結果によれば、40~64歳までの中高年の引きこもり数は61万3000人にのぼるという。二度と悲劇が繰り返されないように、社会全体で引きこもりをめぐる構造的問題に関心を向け、理解する必要があるのではないだろうか。 前のページ1234 最終更新:2019/06/24 17:30 楽天 被害者のふりをせずにはいられない人 「引きこもり」をおどろおどろしく報じるのはやめよう 関連記事 ホストにハマる女は「まじめ」になる。引きこもり風俗嬢が出会った「ホスト・コミュニティ」「父が死んだら兄と決別しようと思う」父親の介護をめぐる、姉妹と引きこもりの兄「母より先に死ねたらと思う」母親の年金で暮らす、引きこもりの四十代女性元極妻が考える「殺人動画」問題――ネットで喜んで拡散するカタギさんのほうが怖い?炭鉱に生まれた「白雪姫」、肥大した金と男への欲望【福岡スナックママ連続殺人・前編】 次の記事 『ザ・ノン』整形しないという決断 >