サイゾーウーマンカルチャーインタビュー精神科医が語る引きこもり カルチャー インタビュー 精神科医が語る「引きこもり」に見られる6つの精神状態と、「犯罪者予備軍」の論調が危険なワケ 2019/06/24 17:30 サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman) インタビュー社会 大事件が起こるのは「最後の引き金」があるかどうか 片田氏が挙げた「引きこもり当事者の精神状態」の特徴は、犯罪につながることもあり得ると感じさせるものだ。ともすると「引きこもりは犯罪者予備軍」の説は正しいことになる気もするが……。 「確かに先ほど挙げた、強い怒りと恨み、復讐願望、また敗北感からの一発逆転を望むといった、引きこもり当事者にみられる精神状態の特徴が、凶悪事件につながる可能性はあるでしょう。しかし、そういった精神状況だとしても、実際には犯罪に走らない人の方が大多数です。そもそも、引きこもり状態ではない人でも、強い怒りや復讐願望などを抱いている場合もあります。大事件を起こすかどうかは、最後の引き金となる『きっかけ』の有無によって決まることが多い。例えば、川崎殺傷事件の場合では、伯父夫妻の手紙が、一つのきっかけになったのではないかと私は考えています」 伯父夫妻は、岩崎容疑者の将来を心配し、川崎市精神保健福祉センターに複数回相談の電話をかけており、今年1月には、市の提案を受けて、部屋の前に手紙を置いたという。その中にあった「引きこもり」という言葉に、岩崎容疑者は「自分のことは、自分でちゃんとやっている。食事や洗濯を自分でやっているのに、引きこもりとはなんだ」と激高したと報じられている。 「岩崎容疑者は、伯父夫婦と食事や入浴の時間をずらすことで、ほとんど接触せず、絶妙な距離感を保って生活していたそうです。そして自分が引きこもりであることを否認していた。しかし、あの手紙で、自分が引きこもり状態とみなされているという現実に直面し、『これまでのような生活ができなくなる』と、岩崎容疑者は思ったのではないでしょうか。それが犯行の引き金となった可能性も考えられます」 「引きこもりは犯罪者予備軍」という偏見に満ちた視線自体が、当事者を追い詰め、「犯行の引き金」になり得る可能性もあると片田氏。当事者だけでなく「社会のためにも、メディアはこうした表現は避けるべきです」。 次のページ 「自立」「就労」という言葉で追い詰めすぎないで 前のページ1234次のページ 楽天 被害者のふりをせずにはいられない人 関連記事 ホストにハマる女は「まじめ」になる。引きこもり風俗嬢が出会った「ホスト・コミュニティ」「父が死んだら兄と決別しようと思う」父親の介護をめぐる、姉妹と引きこもりの兄「母より先に死ねたらと思う」母親の年金で暮らす、引きこもりの四十代女性元極妻が考える「殺人動画」問題――ネットで喜んで拡散するカタギさんのほうが怖い?炭鉱に生まれた「白雪姫」、肥大した金と男への欲望【福岡スナックママ連続殺人・前編】