サイゾーウーマンコラム8歳女児を死に至らしめた父親 コラム 高橋ユキ【悪女の履歴書】 「埋めてこい」実の父親が指示――8歳女児を死に至らしめたもの【葛飾区女児誘拐殺害事件・後編】 2019/06/10 17:00 高橋ユキ 悪女の履歴書 「誘拐したら社長は困るだろう」 昭和49年10月17日。人気のない石崎家へ入っていった美佐子は、真新しい留袖を見つけた。この日、従業員の結婚式のために媒酌人として夫婦で出席するための、聡子の晴れ着であった。この瞬間から、嫉妬の炎が急激に燃え盛り、美佐子は切り出しナイフで左の外袖にL型の裂き傷を作りながら、思った。 「私はそれじゃあ、性の道具として利用されただけなのか……」 夫婦が結婚式場へ向かった後、取引先から自転車で美佐子が事務所に帰っていると、一人で歩いている弥生ちゃんを見つけた。 「乗せて」 こう言われるまま、後ろに乗せた。住居と事業所が一緒になった仙石商店で事務員をしていた美佐子と、その経営者の子である弥生ちゃんは、もちろん顔見知りであった。弥生ちゃんから見れば美佐子は、父親よりちょうど一回り年下の「お姉さん」で、母親の留守には食事の支度をととのえてくれるような存在だった。 だがこの日、自転車の後ろに弥生ちゃんを乗せた美佐子に、あるどす黒い衝動が浮かぶ。 「もしこのまま誘拐したら、社長が困るだろう」 そのまま自転車を走らせて着いた先は、会社ではなく、そこからほど近い場所にあるアパートだった。ここは「お姉さん」と伸一が、2カ月前から夫婦として入居していた愛の巣である。美佐子は弥生ちゃんを部屋に連れてゆき、彼女の首を締め始めるが「やめて」と抵抗されてしまう。だが、二人の“愛の巣”の場所を知ってしまった弥生ちゃんを見て、美佐子は思った。 「このまま逃げられては困る……」 急いで台所に向かい、流しの下の包丁を手に取り、その刃を弥生ちゃんの頭に突き立てる。「苦しい、息が苦しい」とうめく弥生ちゃんの背中に、美佐子はなおも包丁を数回、突き刺して殺害したのだ。 次のページ 「なぜ埋めてこない」財布で頭を強く叩く“父親” 前のページ123次のページ 楽天 不倫 関連記事 「白雪姫」の“セックス恐喝”――欲望に殺された男たち【福岡スナックママ連続殺人・後編】木嶋佳苗死刑囚、三度目の獄中結婚――「佳苗さんを好きになることは、宗教を信仰することと一緒」被害者が口にしていた言葉15年にわたる実父の強姦が黙殺された「栃木実父殺し」から現在――社会に排除される女性と子ども「宮家の後継者」を自称、マスコミ・芸能人を巻き込んだ「有栖川宮詐欺事件」の女恋人の遺体と45日間生活、交際5年の果てに女が犯した「ラストダンス殺人事件」