サイゾーウーマンカルチャーインタビュー“男性社会”な業界語るゲーマー座談会【前編】 カルチャー 女性ゲーマー座談会【前編】 女性ゲーマー座談会【前編】私たちは「恐怖」と戦っている――“男性社会”なゲーム業界を語る 2019/06/01 16:00 サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman) インタビュー 左から、ドスコイ☆花子さん、セリーナさん、あさいさん、razさん 米Time誌が選ぶ「世界で最も影響力のある100人」に、テイラー・スウィフトやドナルド・トランプ大統領と並び、ゲーム配信者でプロゲーマーのNinjaが選出された。彼は20代後半ながら、年収は10億円ともいわれており、ゲーム好きなら知らない人はいないほどの有名人だ。 昨年発表された「新語・流行語大賞」に“eスポーツ”という言葉がノミネートされ、ゲームは遊ぶものとしてだけでなく、“競技”や“仕事”としても注目され始めている。日本国内では、日本テレビや吉本興業などの大手メディアがプロチームを作り、若手選手に活躍の場を提供。さらに、ロート製薬やUCCといったゲームに直接関係のない企業も選手のスポンサーに乗り出し、海外での活躍を支援している。 野球やサッカーのようなプロスポーツを彷彿とさせるeスポーツ業界だが、その中で“少数派”とされているのが、女性選手だ。現在、プロシーンで活躍する選手はほとんどが男性で、女性はほんの一握り。体格などの性差にとらわれず、男女平等に戦えるのがeスポーツの良さでもあるはずだが、圧倒的な“男性社会”だと言えるだろう。また最近では、とあるゲームの公式大会で優勝したにもかかわらず、容姿に対する誹謗中傷を受けたという女性選手が、自身のブログでその悲痛な思いを吐露したことが話題となり、ゲーム業界を超えて、ネット上で議論を呼んでいる。 そこで、女性ゲーミングチーム「花鳥風月」のメンバーである、ドスコイ☆花子さん、あさいさん、razさん、そしてイベントMCやゲーム配信者として活動するセリーナさんに、男性中心の業界で女性が直面している問題について語っていただいた。 【座談会出席者プロフィール】 セリーナ……忍ismストリーマー部門所属。『キャサリン』やホラーゲームなどを配信するバイリンガル女子ゲーマー。 ドスコイ☆花子……花鳥風月所属。『スプラトゥーン2』をメインに、 格闘ゲームや『Dead by Daylight』をプレイ。 あさい……花鳥風月所属。『スプラトゥーン2』をメインに配信を行っている。『Apex Legends』などFPSゲームもプレイ。 raz……花鳥風月所属。『スプラトゥーン2』の動画投稿など、 YouTubeでの配信を中心に活動を行っている。 ゲームをしていて感じる“恐怖感”の正体 ――今日はお時間いただきありがとうございます。まず大前提からお聞きしたいのですが、ゲーム業界は女性にとってどのような場所なのでしょうか。 セリーナ 今のところ、「活動しにくい世界」という感じでしょうか……。 ――特にどんな場面で感じますか。 ドスコイ☆花子(以下、花子) 私はアーケードゲームが好きで、ゲームセンターによく行ってたんですよ。でもゲームセンターって、女子1人では相当入りにくい場所ですよね。一歩踏み出すまでが、本当に大変です。 ――「入りにくい」というのは、感情としては何が近いんでしょうか。 花子 「怖い」……ですかね。 セリーナ やっぱり怖さはありますね。新しいゲームが話題になって気になっても、友達と一緒じゃないと行けないというか。ゲームにもよりますけど、女子のプレイヤーはどうしても少ないので、普通に遊んでいるだけでも、ジロジロ見られることが多い。でも、今はオンラインでいろんなゲームができるので、遊びやすくはなったと思います。 あさい 私はもともとゲームセンターには行かず、家でゲームをしているんですけど、オンラインゲームの世界でも、女性への風当たりはやっぱりキツいです。大会に出て結果を残しても、SNSで「チームメイトの男が強かったんでしょ?」とか、「女の子だから強い人と組めてよかったね」って言われたり……。 raz 私がプレイしている『スプラトゥーン2』というゲームは、オンライン対戦中にボイスチャットでコミュニケーションを取ることが多いんですけど、自分と近いレベルの人はだいたい男性でした。なので、最初はマイクを使わないで他の人の会話を聞くだけにして、女だっていうことがバレないようにしてましたね。何か言われるんじゃないかとか、見下されるんじゃないかって、“恐怖感”があったので。 ――その恐怖感は、どこから生まれるんですか。 セリーナ 同じ女性プレイヤーが悪口を言われたとも聞きますし、自分の体験もあります。例えば、ゲームの大会に出てネット中継の映像に映った時、コメント欄が「女だ、女だ!」で埋まるんですよ。男性が出ても「男だ!」とはならないのに、不思議ですよね。そういう時に、やっぱり1人のプレイヤーとしてではなく、“女”という属性でしか見てもらえてないんだなと感じます。 raz ゲーム配信は今、世界中の人がやってますけど、特に日本は顔や外見のことを言われやすい気がするんですよね。ゲームがうまいかどうかより、「とにかく顔」みたいな。 あさい 私も配信している時に、心ないコメントをされたことがあります。「あさいさん老けた」とか、「声がかわいくない」とか。ゲームに全然関係ないことばっかり(苦笑)。あと、SNSで「やばい女子ゲーマーランキング」とか勝手に作ってる人がいて……もちろん無視しますけど! でも、やっぱりいい気持ちはしないです。 ――そういうことを言ってくるのも、男性なんですか? 花子 もともとゲーマーは男性が多いからっていうのもありますけど、やっぱり男性が多いのかな? でも、女性も同じようなことを言う人はいるし、女性が男性のフリをして目立つ女性を攻撃することもあります。なので性別以前に、ゲーム業界全体として、「誰に何を言ってもいい」空気になっているのかもしれないですよね。 次のページ ゲームはしたいけど「叩かれるかもしれない」 12次のページ 楽天 ジェンダーってなんのこと? (国際化の時代に生きるためのQ&A2) 関連記事 「ジェンダー論の、少し先の話」――著者・はるな檸檬さんに聞く『ダルちゃん』執筆の背景「男性も楽になる」ジェンダー論はおかしい――女性を“わかってるふう”の男性の問題点男女の“生きづらさ”の違いとは? 「共に被害者」という主張が強くなっているジェンダー論「女も女性という“性”を過剰に演出している」 Xジェンダーの漫画家が語る、自分らしく生きる方法オシャレな表紙とハイテンション造語でごまかされてる、「ar」の“今じゃない”ジェンダー観