サイゾーウーマンカルチャーインタビュー女も女性という“性”を過剰に演出 カルチャー 『女だけど女装してキャバ嬢してみた! ヒゲ女子のいる店』著者・華京院レイさんインタビュー 「女も女性という“性”を過剰に演出している」 Xジェンダーの漫画家が語る、自分らしく生きる方法 2016/02/07 19:00 インタビューLGBTXジェンダーセクシュアル・マイノリティ 華京院レイさん 最近、セクシュアル・マイノリティについて取り上げるメディアも増え、“LGBT”というワードの認知度も高まってきたように感じられる。これまで差別や偏見に悩まされてきたセクシュアル・マイノリティの人たちに対する理解が深まることは、歓迎されるべきことである。しかし、人間の“性”というものは、必ずしもわかりやすい言葉を使って表現できるとは限らない。 たとえば、セクシュアル・マイノリティの総称である“LGBT”は、レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの頭文字を取ったものであるため、異性愛者以外はその4タイプしかないと勘違いしている人も多いかもしれない。 2014年2月には、Facebookが50種類の性別を追加したことでも話題になったが、性的指向というのは極めて多様であり、その分布はグラデーションだとも言われるように、明確にタイプ別に分類できるものではない。 そうした、曖昧な性的指向において、ある意味“わかりにくい”性自認をカミングアウトしているのが、昨年12月に発行されたエッセイ漫画『女だけど女装してキャバ嬢してみた! ヒゲ女子のいる店』(みなみ出版)の著者である華京院レイさん。体は女性だが性自認は男性(FTM)寄り、そして、心の性は中性から男性寄りの「Xジェンダー」(FTX)で、恋愛対象を持たない「無性愛者」として生活している。 現在、ウェブをメインに漫画を発表しながら、キャバクラと、おなべバーを掛け持ちしているという華京院さんに、自らの性自認やこれからの人生のことについて話を聞いた。 ■実は「女だけど女装している」という人は結構いる ――ご自身が現在の性的指向を意識されたのは、いつ頃からでしょうか? 華京院レイさん(以下、華京院) 昔から男の子っぽいところはあったのですが、成長するに従って母親に「女の子らしくしなさい」と言われるのが、とてもつらく感じられるようになってきたんです。それで、インターネットが普及し始めめた頃、性的指向を調べる中で、最初は性同一性障害かなと思っていました。でも、女性男性いずれの性別でもない「Xジェンダー」という概念を知って、「私それかも!」と気づいたという感じです。 ――「性同一性障害」よりも「Xジェンダー」の方がしっくりきたということでしょうか? 華京院 そうですね。じつは、性同一性障害だと思っていた当初、FTMの人たちが働くおなべバーに足を運んでみたんです。そのときに、なんというか……浮いてしまって、やっぱり自分とはちょっと違うなと。具体的にいうと、おなべバーでは男らしさを求められるので、そうすると「男を演じる自分」を演じようとしすぎてしまったんです。それもまた居心地が悪かった。そうしたこともあって、FTM寄りのFTXである「Xジェンダー」が一番自分らしくていいんじゃないかという結論に至りました。 ――「Xジェンダー」として生きていくと決めてから、精神的な変化はありましたか? 華京院 生きづらさを感じることがなくなりましたね。というか、あまりにも“女装”するのが苦しくなって、男性ホルモンを打つようになりました。そうすると、外から見るとそこまでわからないのですが、1週間くらいで自分の中で変化を感じるようになるんです。体も筋肉がついてきて、体温が上がったり、ひげが生えてきたりして、徐々に男性寄りに変わってきたんです。それとともに、自分らしさを手に入れられたという納得感や安心感を抱くようになり、気持ちも安定しましたね。 12次のページ Amazon 女だけど女装してキャバ嬢してみた! (るぽコミ) 関連記事 自分の中の差別意識を見つめ直すために ゲイアートの巨匠が問いかける、LGBTを取り巻く社会 「愛してるよ! 部屋、片付けろよ!」、LGBTの子を受け入れた両親の新聞投稿が感動的ガガのLGBTに向けた感動的なスピーチが、同性愛嫌悪者から激しい非難に遭う!男同士も、男女のエロマンガも同じ――「薔薇族」編集長が語る“セクシュアル・マイノリティ”の世界ジェニファー・ロペス、トランスセクシュアルのモデルと浮気したBFに大激怒