[女性誌速攻レビュー]「Seventeen」6月号

永野芽郁は高級ブランドアピール、日向坂46は“非モテ”設定!? 読者の共感に乏しい「Seventeen」

2019/05/18 14:00
藤本なつき

日向坂46のセンターが「非モテ」なわけがない!

 先ほどの永野の高額な私服とは打って変わって「全身\4,999以下で願望実現着まわし14DAYS」という良心的な企画を見ていきましょう。日向坂46・小坂菜緒が、男子ウケを狙ったコーディネートを披露します。小坂は「女友達はいるけど、彼氏がいつまでたってもできない……モテたいよーっ」とファッションで男子ウケを目指すのですが、坂道グループでセンターを務める小坂が言っても説得力がなさすぎます……。 

 そんなアイドル界でもトップの人気を誇る小坂が、「かわいいけど男っぽいのが残念」と、陰で男子に言われるところからストーリーは始まります。その言葉にショックを受けた小坂は、コーディネートにパステルカラーを取り入れ、美容室では「男子にモテそうな感じで!」とヘアオーダー。最終的に「かわいくなった小坂から目が離せなくて」と告白されるのですが、ファッションとヘアスタイルを変えるだけで、恋愛がうまくという非現実な展開に、ただただ彼女のポテンシャルの高さを見せつけられる企画でした。

インスタで「におわせ系」の投稿を推奨

「恋のきっかけにも追い込みにも使える(ハート)インスタストーリーのモテクがヤバい!!」では、インスタグラムの機能「ストーリー」を使ったモテを指南します。「ストーリー」とは投稿した写真や動画は、通常の投稿とは異なり24時間後に自動的に削除されるシステムなのですが、このページで披露されるストーリーの“モテク”は、あらゆる“あざとさ”を凝縮したテクニックばかりで、少々恐ろしくなります。

 まず紹介されるテクニックは「におわせ系でモテ!」というもので、「彼におごってもらったモノをUP」することを推奨しています。写真の例として、男性の手をあえて映りこませた2杯のタピオカの写真を掲載していますが、このような投稿は、「女子ウケは微妙」としながら、「こんなに喜んでくれるんだ!」と、おごった側の男性を喜ばせる効果があるとのこと。高校生で、この“モテク”をマスターするなんて、今後の女性の化け具合が末恐ろしいです……。数年後にはタピオカから高級レストランにレベルアップ! なんて日もそう遠くはないかもしれません。ほかにも「彼に寄せてく系でモテ!」というテクニックでは、「彼の地元のお店」の写真を位置情報付きで投稿するという、一歩間違えたらストーカーのような行動を取り、彼からの連絡を待つというものでした。先月号までは、女友達に嫌われることを極端に恐れ、「におわせ系」を完全NG行動としていた「ST」ですが、一体どんな心変わりがあったのでしょうか。結局のところ、男子ウケと女子ウケの両立は難しいと、匙を投げつけられたような気持ちに。

 「ST」は、読者のファッションや学校生活の悩みに優しくより沿ってくれる雑誌だと思っていましたが、高校生の1カ月のアルバイト代が一瞬で吹っ飛ぶ価格の洋服を紹介したり、日本を代表するアイドルグループが「非モテ」キャラを演じ、「男ウケ」の行動を指南するなど、浮世離れした世界が広がっていました。先月までは“全人類モテ”という目標を掲げ、友達に気を使いまくっていた優等生ST読者が、6月号に掲載されているような「男目線」を意識した行動に切り替えられるか心配です。
(藤本なつき)


最終更新:2019/05/18 14:00
SEVENTEEN (セブンティーン) 2019年 06月号 [雑誌]
におわせが許されるのは10代までだと思う