スペインの蝋人形博物館に登場したドウェイン・ジョンソンの人形が、まるで「白人」!?
歴史上の人物やハリウッドセレブ、人気スポーツ選手らを再現した蝋人形。モデルにされた人にとっては世界的知名度が証明されたというステータスにもなるのだが、微妙な仕上がりなもの、まったく似ていないものも多く、どの国でも笑いネタにされることが多い。
しかし5月3日、スペイン・マドリードの蝋人形博物館に、“ザ・ロック”のリングネームを持つプロレスラー/俳優のドウェイン・ジョンソンの蝋人形が登場したのだが、肌の色が明るすぎると、たちまち炎上する騒ぎになった。
1995年に世界最大のプロレス団体「WWF」(現WWE)でデビューし、97年からは黒人至上主義のレスラーユニット「ネーション・オブ・ドミネーション」の悪役レスラーとして活躍したドウェイン。リングでの歯に衣着せぬ発言で人気者になった彼は、その後、ハリウッドに進出。映画『ハムナプトラ』シリーズで存在感を表し、09年に公開された主演映画『ウィッチマウンテン/地図から消された山』の大ヒットで俳優としての地位を確立した。近年では、映画界で引っ張りだことなっている。
ドウェインの父親は、人気黒人レスラーだったロッキー・ジョンソン。母親は、サモア出身のプロレスラーとして人気を博したピーター・メイビアの娘と、まさしくプロレス界のサラブレッド。ミックスであるため、肌の色はこんがり日焼けしたようなブラウンカラーで、顔は母親似でサモアの色が濃く出ている。
問題の蝋人形だが、マッチョな体形や左上腕のサモアを象徴するタトゥーは見事に再現されている。だが、肌の色は「白人がちょっと日焼けした」程度であり、そのせいか顔もあまり似ていない。この蝋人形が公開された直後、ネットでは特に黒人コミュニティから「そんなに白人のようにしたいのか!」といった怒号が飛び交っていた。
昨年、ビヨンセの父親が「娘やマライア・キャリー、リアーナ、ニッキー・ミナージュら成功したアーティストの共通点は肌の色が明るいこと」と指摘して物議を醸したが、化粧品広告におけるビヨンセの肌の色が白くなっていたり、雑誌の表紙を飾ったリアーナの肌の色が明るくなっていたりと、「白人社会が黒人の肌の色を白く表現すること」に、強い憤り持つ黒人は少なくない。
今回のドウェインの蝋人形に関しては、「黒人といってもサモアとのミックスだし……」と擁護する意見もあるが、「ロックはよく、自分は黒人だと言っている」「サモアの特徴まで消されている」と大炎上。ちなみに、ドウェインの蝋人形は、アメリカのハリウッド蝋人形館にも置かれているが、こちらは肌がブラウンで、人種的特徴を明確にしているからか人気である。
今夏には、主演映画『ワイルド・スピード/スーパーコンボ』が公開され、WWEへの復帰も期待されているドウェイン。世界的なスーパースターであるだけに、「肌の色も顔も、もう少し本人に似せてほしい」と切望する人は多いようだ。