女のための有名人深読み週報

フジ・山崎夕貴アナは「バラエティー向きの妻」――視聴者ウケを呼ぶ“2つの顔”とは?

2019/04/04 21:00
仁科友里
山崎夕貴公式プロフィールより

 羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな有名人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます

<今回の有名人>
「今年に入って、おにぎりが一回しかない」フジテレビアナウンサー・山崎夕貴
『ノンストップ』(フジテレビ系、3月29日)

 夫婦関係を扱うバラエティーに向く芸能人とは、本人のトークスキルよりも、配偶者の職種や社会的地位が重要なのではないだろうか。

 例えば、先日引退した米大リーグ・マリナーズの元外野手、イチロー。偏食とこだわりが強いことは本人も認めており、そばにいる弓子夫人はさぞ苦労したことだろう。しかし、だからといって、仮に世界記録保持者の妻がバラエティーに出演し、夫の愚痴を言ったなら、「あれだけの結果を出しているんだから、それくらい許してやれ」とか「年棒が高いんだから、我慢しろ」と叩く人はいるはずだ。

 かといって、弓子夫人が「夫はとてもいい人で、私は愛されています」とアピールをしたら、途方もない富だけでなく愛まで見せ付けられて、視聴者は立場がないだろう。超高収入な夫を持つ妻は、バラエティーには不向きと言えるのだ。


 それでは、どういう人が夫婦バラエティーに向くかと言えば、元フジテレビアナウンサー・中村仁美のようなタイプだろう。中村の夫は、お笑い芸人・さまぁ~ずの大竹一樹。日本全体の平均値で見れば、かなり高収入なカップルだろうが、中村はそれを前面に出さない賢さがある。かつ夫がお笑い芸人であるため、何を言っても「あれはネタ」だと言える逃げ道もある。よって、夫に対する不満を言っても、どこにも角が立たないのだ。

 大竹はいろいろな番組で中村を「鬼嫁」と呼び、中村もいろいろな番組で、それに対する反論や夫への愚痴を明かしている。3月27日放送の『ノンストップ』(フジテレビ系)では、夫からプレゼントされた「いらないもの(キャベツの千切りしかできないピーラーなど)」を挙げてみせた。ここでのポイントは、実生活で受けた愛情表現をテレビで話さないことだろう。大なり小なり夫に不満を持つ妻というキャラなので、のろけ的なニュアンスのエピソードを披露すると、矛盾が生じてしまうからだ。

 こうやって考えていくと、バラエティーで結婚生活について語るタレント枠で、がら空きのポジションがある。

 それは「愛され妻」だ。ドラマの主役が素直で善良な人物である場合、悪役を登場させると、主役のキャラクターに深みが増すように、バラエティーの世界も、夫の愚痴を言う妻だけでは盛り上がらない。「愛され妻」が必要である。しかし、上述した通り、「高収入の夫を持つ愛され妻」はバラエティーとして映えないだろう。そもそも、女性芸能人は高収入な男性と結婚するケースが多いことを考えると、なかなか適任の人物はいないように思うが、ここにきてバラエティー界に、「愛され妻」と「夫への愚痴をこぼす妻」両方のキャラクターをこなせる妻が現れた。フジテレビの山崎夕貴アナである。

 女子アナと言えば、プロ野球選手や会社経営者など、高収入な男性と結婚することが多いのに、山崎アナは売れているとは言い難い、お笑い芸人・おばたのお兄さんと結婚した。フジテレビのエースである山崎アナの方が、年収が高いことは間違いないだろう。


 しかしその結果、山崎アナはいじられやすくなり、露出が増しているようだ。『さんまのFNSアナウンサー全国一斉点検』(同)で、山崎アナは夫との“いちゃいちゃシーン”を放送されていた。テレビ局の控室で撮影した、夫への「LOVE動画(山崎アナが体でアルファベットを作ってLOVEの字を作る)」や、夫と後輩芸人を交えた食事の様子を隠し撮りした映像が流されたのだ。

 フジテレビのエースとも言える山崎アナが、売れているとは言い難い、夫と後輩芸人の食事会にやって来て、後輩に「いつも仲良くしてくれてありがとう」と挨拶し、おばたを立てる。一方のおばたも、椅子に座った山崎アナの体が冷えないように、毛布のようなものをかけてあげる優しさを見せる。後輩が先に帰り、二人きりになると、一気にいちゃいちゃモード。山崎アナはおばたの鼻をつつき、おばたも「いい奥さんだな」と返す。

 もし山崎アナの相手が、現役プロ野球選手や有名俳優だったら、こういったいちゃいちゃシーンは夫側のイメージダウンになりかねないので、まず無理だろう。しかし、おばたはまだまだ駆け出しの芸人。山崎アナの方に経済力があり、生活の心配はないという背景が共有されているため、おばたは「収入は今のところいまいちだが、愛情表現豊富な夫」というキャラクターとして視聴者に受け入れられるだろう。特に独身女性を中心として、好ましく解釈されるのではないか。おばたも、そういう男性とあえて結婚した山崎アナも、イメージを上げることになるわけだ。山崎アナは「愛され妻」の座を独り占めできるのである。

泣かせてくれよ (おばたのお兄さん盤)