サイゾーウーマンカルチャーインタビューセレブ家庭で虐待は起こらない? カルチャー インタビュー セレブ家庭で虐待は起こらない? 南青山児相建設計画、元児童福祉司が語る「反対派」の盲点 2019/02/09 17:00 サイゾーウーマン編集部(@cyzowoman) インタビュー社会 虐待をなくすために社会や個人ができること ――大きな質問ですが、虐待のない社会にするためにはどうしたらいいのでしょうか? 金井 臨床をやってきた身としてまず思うのは、虐待の連鎖を断ち切ることです。そのためには、虐待を受けている子どもを早くその環境から救い出し、安定した環境でケアを行い、いつか結婚して子どもを持ったときに、きちんと育てられるようしていかなければなりません。また、子どもが育つ環境として、親が暴力をふるったり罵ったりするシーンを見るのはダメージが大きいので、DVをしている親の治療や教育も大切です。予防として、中学高校くらいの教育の中でも、適切な異性との関わり方などをもっと取り上げて、男女共に学ぶべきではないかと感じています。 ――一方で、私たちが日常的にできることはあるでしょうか? 金井 虐待を受けている子どもが出すSOSに気づいてあげることです。そのためにも、「よその家のこと」にせず、気になる親子がいたら声をかけるとか、お節介をしていってほしいと思います。最近はそういった風潮も出てきていますが、もっと必要かなと感じるので。 誰にだって虐待しそうになる瞬間はあるはずなので、それ自体を責める必要はありません。それより、どうやったら解決できるかなど、周りのサポートによるところが大きい問題を、みんなで考えていかなければならないと思います。例えば赤ちゃんが何をしても泣きやまなくて困っているとき、「大人だってなんとなく泣きたくなる時があるし、赤ちゃんも同じだよ」って声をかけてもらえたら、安心するじゃないですか。そういうサポートがなく虐待に至るケースが少なくないので、「頼れる人がいないのかな」「サポートが必要そうだな」と感じたら、積極的に声かけをしていってほしいですね。 (取材・文=千葉こころ) 金井雅子(かない・まさこ) 江戸川大学こどもコミュニケーション学科特任教授。心理職で入都後、主に児童相談所等で児童心理司、児童福祉司として児童福祉の第一線で勤務。 前のページ1234 最終更新:2019/02/09 17:00 Amazon 子どもの虐待防止・法的実務マニュアル【第6版】 虐待問題は、誰かのことではなく自分のこと 関連記事 なぜ「虐待する親」「パートナーの虐待を止めない親」が生まれるのか、臨床心理士が心理状態を分析虐待した保護者、虐待された子のその後は――? 児童相談所の「措置機能」を考える悲しいことに結愛ちゃんが書いた「ゆるして」は珍しくない……子どもへの暴力を認めている日本の現状児童相談所の権限強化や警察との全件共有は、本当に救える命を増やすのだろうか?「加害者の半数は実母」「幼児より新生児の被害が圧倒的に多い」――児童虐待の事実をどのぐらい知っていますか? 次の記事 【22回】「昼からお酒」は許せない? >