食品添加物、紙おむつ、医薬品にNO! “脅し系ナチュラル”に女性がハマる罠
「自然派、ナチュラルに傾倒していくきっかけはいろいろあると思いますが、先輩ママたちからの影響を受けてハマっていく人が特に多いのではと感じます。また、助産院の助産師から助言を受けたり、市から紹介された子育てサークルで教えられたというケースもよく聞きますね」
そう語るのは、『安心のペットボトル温灸』(夜間飛行)などの著書を持つアシル治療室院長の鍼灸師・若林理砂先生。自然派に傾倒するのは、比較的、高学歴で高収入の女性が多いといいます。これは日本に限らず、外国のナチュラリストにも当てはまるんだとか。
「まず、自然派な生活を実現するには、お金がかかります。オーガニック食材や無添加のナチュラルおやつは、普通のものよりも割高ですから、ある程度の収入がないと続けられないんです。また、頭のいい女性ほど、もっともらしい自然派の『理屈』に共鳴しがち。そして、『やるからにはしっかり取り組まなければ』という生真面目さが災いし、よりストイックにナチュラルを信仰するようになります」
そして、ナチュラル信仰にハマるのは、ほとんどの場合が女性。市場を見ても、「化学物質を徹底的に排除した麻素材の男性用下着』などは見かけません。それはひとえに、月経や妊娠・出産をする女性のほうが、衣食は「自分の体とダイレクトにつながっていることを実感しているため」だと若林先生は言います。
しかし、自然派の理屈は、医学に沿っているとはいえないものが多く、○○しないと××になるなど、不安を煽る要素も多分に含むのが現実。若林先生はこれを“脅し系ナチュラル”と呼び、うかつに飛びつくことへの警鐘を鳴らします。
「ナチュラル信仰の人の間では、冷たいものを摂ると逆子になるとか、紙ナプキンはポリマーが子宮に蓄積していくなどと、医学的にはなんの根拠もない情報が行き交っています。ほかにも、紙おむつは生殖器周りの感覚が鈍って頭が悪くなるなどの迷信が、固く信じられていたりします。もちろん、これらの説を裏付けるような厳密なデータはありません」
砂糖や油脂についても、摂りすぎが体によくないのは子どもに限った話ではなく、大人も同じ。そして、それらを完全に断つことが子どもの健康に直結する、というわけではないと若林先生。また、ナチュラルやオーガニックを好む人は、スピリチュアル信仰へと、スライドしてハマっていく傾向があるんだとか。
「自然派もスピリチュアルも、内容は違いますが、お客様になるタイプの女性はほぼ同じです。自然派から入って、だんだんとスピリチュアル要素を含んでいくこともあれば、その逆もあります。同じお盆の上にあるので、つながるきっかけがたくさんあるのが原因ですね」