世田谷区役所炎上! 漫画家・山本さほ氏告発、謝礼引いた職員は「横領」? 弁護士が回答
「横領」と聞くと、女性行員が交際していた男性に貢ぐために約9億円の横領をした「滋賀銀行9億円横領事件」などを思い浮かべる人も多いだろうが、そもそも横領とは、法的にどのように定義されるのだろうか。
「横領とは、自分が預かっている他人のお金などを、その他人を排除し、利用したりすることを意味します。これを難しく言うと、『自己が占有する他人の物に対し、所有者を排除する意思とその物の効用を享受する意思を発現する行為』となります」
今回のケースでは、「仕事上預かっているお金」を横領したことになるのではないかと、ネット上で疑念を抱かれているが、「その場合は、『業務上横領』という罪になります。通常の『横領罪』が5年以下の懲役なのに対し、『業務上横領罪』は10年以下の懲役です」といい、罪が重くなるそうだ。
そして肝心の世田谷区役所職員M氏のケースだが、山本氏のギャラから場所代を引いたものが渡されていたということで、確かに疑惑の目を向けられても致し方ない気がするが、山岸氏は「横領に当たりません」と語る。
「たとえ、役所の担当者が“山本さんの謝礼”を預かっていたとしても、まだ、山本さんに渡されていない段階では、これはまだ“役所のお金”です。そうすると、その中からキャンセル料を支払うとしても、『役所のイベントで偶発的にかかった経費を、その“役所のお金”から支払った』ことには違いないので、役所を排除してまでそのお金を利用した、とまでは言えないということになります」
今回のケースは、法的に問題はないというが、山岸氏は、公務員の対応に問題があるのは事実とし、見解を述べる。
「公務員の中には、責任感のない方も、少なくないような気がします。一般的には、『評判が下がる』と、『売り上げが下がる』ことにつながりますが、役所にはそういった図式がないからかもしれません」
ネット上では現在、世田谷区役所に対する批判が渦巻いており、一部ユーザーが、区長に対してまで「辞職」を求めるなど、暴走している様子も散見される。今回の騒動が、単なる“炎上”として消費されるのでは、区役所そして区民がよりよい関係を築ける一歩となるよう願いたいものだが……。