小川榮太郎論文で炎上

「新潮45」大炎上! 新潮社社長“声明文”のおかしな点を、言葉のプロ・校正者が徹底解読

2018/09/22 21:44
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「新潮45」10月号(新潮社)

 月刊誌「新潮45」10月号(新潮社)の特集「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」に掲載された、文芸評論家・小川榮太郎氏による「政治は『生きづらさ』という主観を救えない」という論文が、いまネットを中心に大炎上を巻き起こしている。

 小川氏は、同論文でLGBTの権利に関して、「LGBTの生き難さは後ろめたさ以上のものなのだというなら、SMAGの人達もまた生きづらかろう。サドとマゾとお尻フェチ(Ass fetish)と痴漢(groper)を指す。私の造語だ」「LGBTも私のような伝統保守主義者から言わせれば充分ふざけた概念」「満員電車に乗った時に女の匂いを嗅いだら手が自動的に動いてしまう、そういう痴漢症候群の男の困苦こそ極めて根深かろう。彼らの触る権利を社会は保障すべきではないのか」などと持論を展開。すると、「LGBTと犯罪を同じに扱うのはあり得ない」「なんという差別的な考えなのか」など、世間で物議を醸すことなり、発行元の新潮社に対しても、「良識を疑う」「上層部は何を考えている」「炎上商法ではないか」などと怒りの矛先が向く事態となったのだ。

 そんな中、9月21日には、同社代表取締役社長・佐藤隆信氏が、公式サイトに「『新潮45』2018年10月号特別企画について」と題した声明文を発表。

「弊社は出版に携わるものとして、言論の自由、表現の自由、意見の多様性、編集権の独立の重要性などを十分に認識し、尊重してまいりました。
 しかし、今回の『新潮45』の特別企画『そんなにおかしいか「杉田水脈」論文』のある部分に関しては、それらに鑑みても、あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられました。
 差別やマイノリティの問題は文学でも大きなテーマです。文芸出版社である新潮社122年の歴史はそれらとともに育まれてきたといっても過言ではありません。
 弊社は今後とも、差別的な表現には十分に配慮する所存です。」

 しかし、この声明文を読んだ人たちからは、さらなる批判・疑問が噴出することに。「奥歯にものが挟まったような文章」「謝罪はしていないし、何が言いたいのか伝わってこない」などという声がネット上に飛び交い、火に油を注いでしまったようなのだ。


 果たして、この佐藤社長の声明文は、どこが問題だったのか――“言葉のプロ”である現役校正マンA氏に、話を聞いた。

新潮45 2018年10月号