サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「ar」が“おフェロ”を捨てた!? カルチャー [女性誌速攻レビュー]「ar」10月号 「ar」は“自分萌え”を捨てるのか? 「彼が喜ぶニヤケ服」「清楚メイク」推しへの違和感 2018/09/29 19:00 女性誌レビュー 「ar」2018年10月号(主婦と生活社) 今月の「ar」(主婦と生活社)は、「I love my new clothes」と題したファッション特集号です。ファッションがメインの号は、十八番であるメイク特集号に比べ、失速気味になることが多い同誌。それでも目次には、期待を裏切らないタイトルが並んでいます。「息するようにおしゃれしたい(ハート)」「秋おしゃワンダーランド(ハート)」「おエロなパープル」「気分はプリッとロンドンガール」……。読んでいるだけで、パーリーピーポーに囲まれた気持ちになれますね。中身も目次に負けない勢いを保っているのでしょうか。早速見ていきましょう! <トピックス> ◎悪カワで着回す いいこじゃない月間30DAYS ◎男目線からとことん分析!! 彼が喜ぶニヤケ服 ◎3回以内でオトすお! 振り返り系(ハート)お生な清楚顔! どうした「ar」! ストーリーを捨てた着回し30DAYS 女性ファッション誌の恒例といえる着回しコーデ企画。ヘア&メイクのページがメインの「ar」で見かけることは少ないのですが、今月号では「悪カワで着回す いいこじゃない月間30DAYS」と銘打ち、展開しています。 着回し企画といえば注目なのがストーリー。かつては恋に仕事にキラキラした女性を描くことが主流でしたが、昨今では時代を反映するように多様化しています。大食い女子大生(集英社「non‐no」7月号)、結婚詐欺に遭ったドン底OL(講談社「with」9月号)、女流棋士(光文社「CLASSY.」10月号)が登場するなど、各誌、試行錯誤している様子が伝わります。 「ar」でも、昨年の8月号では、人気作家の朝井リョウが考案したストーリーの着回しがありました。仕掛けに気付いた後にもう一度最初から読み返したくなるミステリー仕立てになっていたのが忘れられず、今号も期待して読んだのですが……。見事に裏切られました。今回はまさかの、一切のストーリーなし! ただ淡々と30日分の着回しコーデが並びます。 キャプションにもいつものキレがありません。「デニム×ライダースでロックンローラー気取り☆」「パーカ×ロンスカでちょいと悪ぶってみました(笑)」など、どこか昭和っぽささえ漂います。「おしゃ」と「おフェロ」が誌面から溢れ出し、昭和生まれを置いてきぼりにする、いつもの「ar」感がありません。やはりファッションは苦手分野なのでしょうか。 昭和か! 「non‐no」か! 今号のキレのなさに拍車をかけるのが、男性目線を取り入れる企画です。男性ウケしない「おフェロメイク」を推すなど、どちらかといえば「女に萌える女」たちが女だけで突っ走るテンションが「ar」っぽさのはず。ですが、そこに男性の意見が入り込むと、様子が変わってしまうようです。 「男目線からとことん分析!! 彼が喜ぶニヤケ服」のページでは、「ミニワンピよりロングワンピ」「Vネックよりハイネック」「ネオンカラーよりパステルカラー」が男子ウケすると紹介。これまで推してきた露出命の「雌ガール」コーデはどうした! 保守的な意見に、ここでも「昭和か!」と言いたくなります。紹介されている着こなしも、平均的女子大生御用達の「non‐no」に載っていても違和感のないものばかり。「ar」の個性が、ここでも息を潜めています。 次のページ 謎の占い師集団がメイクに口出しするお? 12次のページ Amazon ar 2018年 10月号 関連記事 「80年代のミポリン」の唇を猛プッシュ!! 読者を置いてけぼりにする「ar」流モテメイクの奇跡「ar」夏のSEXY特集が、「中身のない自己啓発書」にしか見えないワケ「LARME」元編集長が「bis」復刊! キラキラ女子雑誌が「性と死」の匂いがするバイブルに大転換おフェロ顔の次は「うさぎFACE」!? 自己陶酔ポエムが垂れ流される「ar」メイク術ZARAに心も体も売った!? “その他大勢とは違う私”というプライドを捨てた「GINGER」