サイゾーウーマンカルチャーインタビューLGBTをめぐる社会、50年の変化 カルチャー 映画『ディヴァイン・ディーバ』出演者ディヴィーナ・ヴァレリア×カルーセル麻紀対談 セクシュアル・マイノリティをめぐる社会は50年でどう変わったか?【カルーセル麻紀×ディヴィーナ・ヴァレリア対談】 2018/09/09 19:00 インタビュー対談LGBT ディヴィーナ・ヴァレリアさん(左)とカルーセル麻紀さん 1960年代の軍事政権下のブラジルを舞台に、現在より自由が制約された中でも、ステージで自分を貫くセクシュアル・マイノリティを描いたドキュメンタリー映画『ディヴァイン・ディーバ』が公開された。これを機に、出演者である伝説のドラァグクイーン、ディヴィーナ・ヴァレリアさんが来日。47年前に交流があったカルーセル麻紀さんとともに、この半世紀でトランスジェンダーやセクシュアル・マイノリティをめぐる社会はどう変わったか、話を聞いた。 ■男のパスポートで行っても問題ないフランス ——まず、お2人が知り合ったきっかけを教えてください。 ディヴィーナ・ヴァレリア(以下、ヴァレリア) 1971年に私がツアーのために初来日した時、知り合いました。当時はお会いする前から、カルーセルさんのお名前を知っていました。今回、久しぶりに再会できてうれしく思っています。日本とブラジルのパイオニアとして道を開いてきた者同士、夢をかなようと頑張ってきましたし、実際にかなえてきました。同じような歩みを経てきて、考え方も非常に似ていると思います。お互い幸せをかなえられた歩みを確認できました。 カルーセル麻紀(以下、カルーセル) 50年近く前、お会いしたけど、詳しくは話したことなかったの。今回いろんなことを話して本当に同じ考え方でびっくり! 私はフランス、パリが好きなんです。差別がなかったから。男のパスポートで行っても問題なかった。アメリカでは、そうはいかないんです。 ヴァレリア 私もフランスが好きなのは、まさにそういうところなんです! カルーセル 私は45年くらい、夏のヴァカンスはずっとパリしか行かないんですよ。 ヴァレリア 自分も若い頃パリに行きましたが、パスポートは男性の名前でした。幸い恋人が大金持ちで一流のホテルに泊まったのですが、なんの問題もなく「マダム」と呼ばれて過ごせました。日本でもそういう問題はあるのですか? カルーセル 昔は、「奥さん、旦那さんのパスポートと間違えてますよ」って言われました(笑)。 ヴァレリア ウルグアイの友人が80歳を過ぎて、年金を受け取るために役所に行ったけれど、見た目は女性にしか見えないのにパスポートが男性の名前だから、やっぱり「これは旦那さんのパスポートです」って言われたそうです。生まれてしばらくたってから、名前を本人に選ばせるといいのにね。親が選ぶ名前って、だいたい変だったりしますし。 カルーセル 私も戦時中で、敵を徹底的にやっつける「徹男」って名前だからね(笑)。パリのホテルで「マダムテツオ」って呼ばれたわ。 ヴァレリア どっちにも使える名前だといいのにね。 次のページ ブラジルと日本、50年たって社会は変わった 123次のページ Amazon カルーセル麻紀“自叙伝"酔いどれ女の流れ旅 関連記事 LGBTを知ると世の中が変わって見える!? 今さら聞けない性的マイノリティへの疑問教科書にLGBTが必要な理由 多様な性の理解における学校教育の重要性「異性の服装と振る舞いを何十年も続けなければいけない違和感」性同一性障害の当事者が語る本音性同一性障害をカミングアウトする時 当事者と親が語る苦悩NEWS・加藤シゲアキ、「俺たちがマジョリティーと思っちゃいけない」とLGBTQへ理解を促す