「請求書は“父親”に」高級ベビーシッター利用者のさまざまな家族のカタチ

2018/09/01 17:00

kadokaowa0901

 娘の夏休み終了まで1週間を切りました。娘は休みですが、私は週2回は朝7時20分に出勤するという通常勤務と変わらない状況だったので、だらけられない夏休みでした。なので、新学期の早起き恐怖はありません。休みの日でも朝5時半に一度目が覚めてしまうのは、「寝過ごしたらどうしようストレス」なのだと思います。自分が寝過ごして朝、保育園を開けられなかったらおしまいですよ。お子さんによっては7時45分過ぎには登園してくる子がいるので、それまでに麦茶を作ったり、空気の入れ換えをしたり、洗濯物を畳んだり……結構、忙しいです。

 仕事にかまけてばかりだと娘がかわいそうなので、婿が夏休みを取ってよみうりランドのプールに連れていったり、映画に連れていったり、私が土日で台湾に連れていったり、家族そろっての旅行はできませんでしたが(保育園という仕事柄、なにかあったらと考えると、家族全員で海外は無理)、親子で過ごすことができました。現在、育休中の社員が復帰したら、家族で海外に行こうと思います。うちは年に何回も母子旅行するので、このまま娘が思春期になっても続けばいいなと思っていますが、そろそろ一緒に行かなくなるのかな? と心配です。

 祖母(私の母)に、「昔は母子で旅行していると目立って嫌だったわ」と聞きました。当時は家族旅行といったらお父さんが必ず参加し、夫婦+子どもだったそうです。私はベビーシッター会社を経営しているので、いろいろな親子を見てきました。離婚シングルは当たり前、結婚していないシングル、認知だけしているシングル、お父さんだと思ったらお母さんの内縁の夫(子どもとの血のつながりはない)……。共通するのは、母子のつながりだけです。

 「請求書は父親(元夫や言葉通り「子どもの父親」)に」という家庭もあり、ベビーシッターを利用するのは富裕層なのだなとつくづく感じます(普通の家庭は区のファミリーサポートなどを利用しているそうです)。シッターさんから派遣先のおうちの話を聞くと、「すごい!」と思うこともあります。


 どんなご家庭にでも満足してもらえるよう、シッターの教育を徹底しないといけないし、課題は山積みです。シッター会社はたくさんあるので、一度でもミスがあると「ほかにしよう」となるわけです。

 「特別な保育園」「特別なベビーシッター」であり続けるために、8月から園児の保護者以外の電話回線と、ベビーシッターの電話回線をコールセンターで受けるようにしました。いままでは、横で子どもの声が「わー」とか「ぎゃー」とか聞こえる中で電話を取っていたので、「すみません。子どもの声が大きすぎて聞こえないので、もう一度お願いします」となっていました。うるさすぎて、途中で電話を切られてしまうこともありました。高級感もへったくれもないですよね。

 経験上、高級な保育園やベビーシッター会社は、コールセンターで用件を受けて、担当者から返信があるのが通常です。すんごい今さらなのですが、真似っこですね。あとは、セールスの電話に時間を取られたくないからです。事務スタッフが電話に取れない場合、どうしても保育スタッフが電話を取ることになります。子どもを預かる仕事は、一瞬でも目を離してはいけないので、セールスの電話のせいで“なにか”あってはダメなのです。考えられる危険要素を排除する意味でも、大事なのだと思います。

 私自身が金持ちキャラで露出をしているので、高級マンション、会員制リゾートホテル、会員制人間ドック……本当にさまざまなセールスの電話がありますが、頭にきます。お金ないので買いません、買えません(笑)。買うなら車がほしいですよ。


角川慶子(かどかわ・けいこ)
1973年、東京都生まれ。「角川春樹事務所」会長・角川春樹氏の長女。自身も元アイドルという異色の肩書きに加えて、ビジュアル系バンド好きで、元バンギャルの”鬼畜ライター”としても活躍。2011年9月に認可外保育園「駒沢の森こども園」、16年4月からは派遣ベビーシッター「森のナーサリー」、17年4月に認可外保育園「衾の森こども園」をオープンさせる。家庭では10歳の愛娘の子育てに奮闘中。

 

最終更新:2018/09/01 17:00