『カメラを止めるな!』パクリ疑惑! 著作権侵害が事実なら「とんでもない損害額に」と弁護士談
ここで気になるのが、著作権侵害が事実だった場合の損害賠償額についてだ。和田氏は自身の「note」で、「映画『カメラを止めるな!』について」というエントリーを更新し、「お金なんて欲しいわけないです」「みんなでつくりあげたあの3年間の、劇団の尊厳を守りたいという、それだけなんです」と主張しているが、実際のところ、損害額はどれほどになると考えられるのだろうか。
「簡単に言うと、『映画の興行収入のうちの儲かった分』が損害と推定されます。すなわち、興行収入から制作費と興行・配給料を引いた額が損害額です。『カメラを止めるな!』の場合、興行収入が10億円と仮定し、そこから制作費といわれる300万円と興行・配給料を引くことになりますが、著作権侵害が事実なら、とんでもない損害額になりそうです」
こうなっては上田監督も、今後訴訟が始まった場合どうなるのか気が気ではないだろうが、週刊誌に盗作疑惑記事が掲載される事態となる前に、何らかの手を打てなかったのだろうか。
「問題にならないようにする方法は明らかです。『カメラを止めるな!』に、“原作っぽい”ものが存在することは明らかで、製作側もそれを知っていたのであれば、まずは『弁護士に相談』すべきでした。『業界の習慣』『いつもこうやっている』『これまではOKだった』は、全て都市伝説です」
低予算映画が異例の大ヒットという、まるで夢のような成功ストーリーに降って湧いた盗作疑惑――最後に山岸氏は、今後、どういった検証が法的に進められるのかを説明してくれた。
「『GHOST IN THE BOX!』という舞台が元になっているとのことですが、演劇は、“実際に演じている舞台”自体が著作物ではなく、その脚本が著作物と考えられています。したがって、脚本を作成した人が著作権者です。脚本を上演するにはもちろん『上演権』という権利を持っている著作権者の許可が必要になりますし、映画化するのであれば『翻案権』という権利を持っている著作権者の許可が必要になります。今回の問題は、まず『脚本』を見て、今回の映画とどこまで似ているか、依拠しているかを判断することになるでしょう。構想やあらすじ、設定、物語の背景なんかを真似ていただけでは、何の著作権侵害もありません」
今回の告発が、『カメラを止めるな!』ブームの勢いを止める要因になってしまうのか? 上田監督の動向にも注視していきたい。