ベッキーにとって、引退したプロ野球選手が“理想の恋人”である深いワケ
先日放送された『壮絶人生ドキュメント プロ野球選手の妻たち』(TBS系)。日頃目にすることがない、プロ野球選手の妻の日常を追ったものだが、この番組の面白いところは、年棒が億クラスの選手と数百万の選手、それぞれの妻に密着する点である。生涯推定年棒63億円の元メジャーリーガー・松井稼頭央選手の妻で、都内にある3階建ての豪邸に住む元タレント・美緒夫人は、結婚以来、“稼頭央ビュッフェ”と呼ばれる17品の食事を作っているそうだ。夫の成功のために、ひたすら料理を作るというのは日本人好みの話だが、番組側は、私のようなひねくれ者の視聴者に「そりゃ、そんだけ稼いでくるなら、料理くらい作るでしょ」と言わせないため、またリア充嫌いの視聴者のために、“低収入な夫を支える妻”のパターンも用意している。それが読売巨人軍、二軍の増田大輝選手夫妻である。
巨人のキャンプを家族で見に行くほどの野球好きという家庭で育った夫人が、増田選手と知り合った時、彼はとび職だった。しかし、増田選手は野球への思いが捨てきれず、独立リーグに挑戦し、見事合格。次に読売巨人軍の育成選手に合格する。この時の年棒は240万円だったそうだ。
「プロ野球選手の奥さんになりたい」と思っていた夫人の夢をかなえるために、夫妻は結婚。といっても生活が豊かではないので、夫は東京、夫人は実家の徳島で暮らし、夫人が正社員として働き、3歳の子どもを育てている。夫人は第二子妊娠中でありながら、夫のために4時間かけて食事を14品作り、冷凍して夫に送る。夫に関する新聞記事は、必ずスクラップする。夫が巨人軍の育成選手から二軍に昇格し、晴れてプロ野球選手の妻となった時は涙を流して喜んでいた。私には、“夫を使って、自分の夢をかなえようとしている妻”のように見えるが、恐らく多くの人には、“生活が苦しくても明るく、夫のために身を粉にして働く献身妻”に見えて好感度が高かったことだろう。
話をベッキーに戻そう。『プロ野球選手の妻たち』出演者には、夫に意見する妻、もっと言うと「もう限界だから、野球をやめろ」というネガティブな言葉をかける妻はいない。生活が苦しいと文句を言う妻もいない。いつも明るく「もっとやれるよ」とポジティブな言葉をかけ、神仏に祈ったりする。これって、不倫騒動以前のベッキーそのものなのではないだろうか。ベッキーの行動パターンは、ザ・プロ野球選手妻といって、差し支えない気がする。
もし片岡コーチとベッキーが結婚し、子どもが生まれたとする。何らかの理由で野球の道を閉ざされた片岡コーチに番組が密着するとしよう。ベッキーが子どもの背中をとんとんしながら「悔いが残らないようにしてくれれば」「お金のことは考えないで」「私たちは彼の決めたところなら、どこでもついていく」と話すところを想像してほしい。完璧だ。
片岡コーチが女性問題を起こしたとしても、それもご愛敬。バラエティでいじられてもいいし、「うちもいろいろありましたけど」と自虐してもいい。
前回、ベッキーの“いい子体質”は変わっていないと書いたが、無理に封印することはない。“いい子体質”を存分に生かせるのが、引退したプロ野球選手の妻なのだから。最高のオトコと最高のタイミングで巡り合う。やっぱり、ベッキーも売れた芸能人ならではの、引きの強さを持っていると感じずにいられない。