【連載】別れた夫にわが子を会わせる?

娘はパパに会いたがっているが、元夫は「娘に会いたい」と言ってこない

2018/06/28 15:00

「子どもに会えない」と嘆く別居中の父親は、妻に配慮すれば会えます

――話を、ご自身の結婚に戻します。子どもを、元夫と会わせてもいいと思ってるんですか?

 もちろん。彼が「会いたい」って言ってくれれば、全然会わせます。娘は父親のことはすごく好きですし。彼が抱っこしてる写真とか動画を見せると、娘はすごく喜びます。「パパ、大好き。パパに会いたいなー」みたいなことを気軽に言うんです。

――元夫のほうから、「子どもに会わせてほしい」と連絡してきたことはありますか?

 1回だけありました。だけどそのとき、今のところで週5で働いてたし、土日に会わせて娘に熱を出させたくないと思って、「年末まで待ってください」って返事をしました。するとそれ以来、「会いたい」という連絡はないです。養育費は、ちゃんと毎月振り込んでくれてますけどね。

――今までの話を聞いていると、今後、面会実現の望みは薄そうな気がします。


 娘に会ってほしいので私、「パパに会いたいな」って娘が言ってる映像を彼にメールで送ったりしています。父親だという自覚はしてほしいですから。でも難しいでしょうね。もし今後、彼の気が変わって、「会いたい」と言ってきたら、もちろん会わせます。彼が私よりも素晴らしい子育てができるんだったら、別に親権もいらないし、それで暮らしていけるんだったら、全然そっちでもいいですよ。私だって自由な時間が欲しいですし。

――やり方次第で面会も可能なんですね。

 別居している父親の方々が「子どもに会えない」と嘆いているようですけど、やり方次第。もうちょっと相手に配慮すれば会えますよ。相手の都合とか、会えない理由とかを自覚してないだけ。それこそ「手が足らないときは預かる」とか言えばいいんですよ。

 支援措置を受けて、DVシェルターへと移り住むことと、夫と子どもを会わせないこととは関連していないのだ。いったんDVシェルターへ避難したとしても、子どもを会わせたいと思う親も中にはいる。周囲の援助者は、別れたから会わせたくないだろうと忖度せずに、もっとひとりひとりの気持ちをくみ取るべきではないだろうか。元夫は元夫で責任を放棄せず、娘に会うべきだ。倫子さんの元夫が娘と会ってくれることを、私は切に祈っている。

西牟田 靖(にしむた やすし)
1970年大阪生まれ。神戸学院大学卒。旅行や近代史、蔵書に事件と守備範囲の広いフリーライター。近年は家族問題をテーマに活動中。著書に『僕の見た「大日本帝国」』『誰も国境を知らない』『〈日本國〉から来た日本人』『本で床は抜けるのか』など。最新巻は18人の父親に話を聞いた『わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち』(PHP研究所)。数年前に離婚を経験、わが子と離れて暮らす当事者でもある。


最終更新:2018/06/28 17:24
わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち
娘さんの気持ちを大事にしてほしい