カルチャー
インタビュー

井上公造氏に聞く「自由に恋愛したいなら、芸能人辞めるべき」という“名言”に込めた思い

2018/06/30 17:00

 井上氏は、古くから業界に身を置く芸能プロダクションの社長に「井上、最近お前たちは優しすぎるぞ!」などと発破をかけられることもあるという。

「スーパースターというのは、たくさんのスキャンダルを乗り越えることで、人間としての厚みが出て、さらに成長する……マドンナやマイケル・ジャクソン、日本で言えば、松田聖子さんや大竹しのぶさんもそうですよね。その社長は『だから、もっとどんどんお前らは追及すべきなんだ』『潰れる奴は所詮その程度、それを乗り越えてこそ本物のスーパースターが生まれる』『最近、スーパースターが生まれないのは、お前らが優しすぎるからだ!』なんて言っていましたよ」

 かつてアイドルに、「お前らに見つかったら俺らの負け。でもお前らに見つからないように遊んでやる!」と宣戦布告されたこともあるという井上氏。そんな“豪快”とも言えるプロダクションやタレントの話を聞いていると、昨今ネットでよく言われる「事務所は、自社タレントの熱愛スキャンダルもみ消す」といったウワサの真偽が気になるところだが……。

「これは僕に限った話ですが、事務所から『このネタやらないでくれ』と言われたことってないんです。ただ、『子どもの受験があるから、今はやめてほしい』『CMの契約のタイミングが1カ月後にあるから、そこまで待ってくれ』とお願いされることはありましたが、『一切やらないでくれ』と言われた記憶は、僕のやってきた中ではない。僕の知らないところでそういったことがないとは言い切れないですけどね。テレビなので、結局、僕らの方から『このネタをやります』というわけではない面もありますし」

 長年、芸能リポーターとして活動し、数多くのタレント、芸能プロダクション関係者と直接顔を合わせて話を聞いてきた井上氏。芸能ニュースを報じる側として、今こんなことを思っているという。

「過去を遡るのはよくない、ということです。独身時代に不倫スキャンダルを起こしたものの、別の人と結婚して、今はお子さんがいらっしゃるという方がいますが、過去の不倫を掘り返して今あらためて報じることで、お子さんが学校でいじめられたら、誰が責任を取るんだろう……と感じることがあります。それこそ僕は、過去に誰と誰が付き合っていたかなんて山のように知っていますが(笑)、『たとえ10知っていたとしても、10報じる必要はあるのか?』『伝えていい/伝えるべきニュースと、伝えない方がいい/伝えるべきでないニュースもある』といったことを考えてから、報じようと思っています。これはあくまで“僕のやり方”ですけどね」

 このように、世間や本人、その周囲への影響を考えた上で、さまざまな芸能ニュースを報じてきた井上氏。だからこそ、「自由に恋愛したいのなら、芸能人を辞めるべきです」というアイドルのプロ意識を真摯に問う言葉が、ファンの心を打った……ということなのかもしれない。

井上公造(いのうえ・こうぞう)
1956年、福岡市に生まれる。西南学院大学商学部を卒業後、フリーライター、竹書房編集長を経て、サンケイ新聞社に入社。サンケイスポーツ文化社会部記者として、事件・芸能取材を担当する。86年、芸能リポーターに転身。98年には「有限会社メディアボックス」(現在「株式会社KOZOクリエイターズ」)を設立した。現在、日本テレビ『スッキリ』、読売テレビ『情報ライブ ミヤネ屋』『上沼・高田のクギズケ!』、朝日放送『おはよう朝日です』『キャスト』などにレギュラー出演。芸能ジャーナリズムで幅広く活躍すると同時に、番組企画、芸能情報配信サービスなども精力的に行っている。

最終更新:2018/06/30 17:00
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