サイゾーウーマンカルチャー社会免許返納、家族の説得が難航するワケ カルチャー インタビュー 「認知症でなくとも性格は変わる」高齢ドライバーの免許返納問題、家族の説得が難航するワケ 2018/06/02 17:00 インタビュー社会 「健常でも性格が変わる」と知ることが第一歩 誰にでも起こりうる加齢性変化。しかし、家族がそのことを知らないままだと、「父母が、祖父母が変わってしまった」と大きなショックを受けることになるのではないか。 「免許返納の話をする以前に、高齢者とその家族の間で、コミュニケーションが取れていないケースも考えられますよね。このような場合は、医師やケアマネジャーなど、第三者を介入させるのも手かもしれません。2000年に、介護保険制度が始まり、介護をサービスとして頼むことへの敷居が低くなってきましたし、高齢者の運転事故が社会問題となっている現在、免許返納にしても、家族だけで抱えこむのは得策ではないかもしれません」 そもそも「健常でも、年を取ると性格が変わる」と知ること、また「ほかの家も同じようなことで悩んでいる」と思うだけで、家族の心は少し楽になり、高齢者への接し方を工夫するきっかけになりうるという。こうしたちょっとした意識の変化が、免許返納への第一歩となるのかもしれない。 なお、前出の所氏も「この問題は警察による免許規制や高齢ドライバーを抱える家族のみの問題だけではなく、広い視点で捉える必要があります。キーワードは『多職種連携』と『地域連携』です」と語り、高齢者の免許返納問題の発展的な対策を紹介してくれた。 「熊本県を皮切りに九州各県、鳥取県などで免許更新現場に看護師・保健師を同席させた注目すべきシステムが展開されております。これは、高齢ドライバーから健康状況をはじめ生活全般について親身に話を聞き、地域事情に精通した看護師たちが具体的に助言・指導するというシステムです。これによって、確実に免許返納が増えているようです。私は、この数年、現地調査を行っておりますが、西日本から徐々に浸透してきているこのシステムが、免許返納の今後の切り札になるように感じております」 今後もさまざまな議論が繰り広げられるであろう高齢者の免許返納問題。二度と痛ましい事故が起こらないよう、誰もが他人事ではなく向き合っていくべきなのではないだろうか。 前のページ123 最終更新:2018/06/04 19:02 Amazon 介護というお仕事 (世の中への扉) 二度と事故が起こらぬよう、高齢者、家族の心についても考えるべき 関連記事 「介護舐めるな」と批判噴出――“訪問介護をボランティアに”財務省の提案に、現場の本音は?メリー氏は「キレる老人」? 80〜90代高齢経営者が陥る「感情の暴走・自己顕示」の病あの「バブルの女帝」を獄中で介護してました――老人ホーム化する刑務所事情「高齢者は弱者」という幻想を暴いた、『老人たちの裏社会』著者が語る“老いの孤独”「子どもが偉くなっても、親は寂しい」施設長が見た頑固な老人の空白 次の記事 【漫画】新幹線でエンドレス飲酒の旅 >