コラム
【連載】モンペと呼ばないで! ~怒れるママたちの叫び~

「予防接種を打たせないママ」に幼稚園が困惑――「子どもの付き合いにも支障」とママ友が悲痛の訴え

2018/05/08 20:10
Photo by takaaki nishioka from Flickr

 アラサーやアラフォーの世代が子どもだった頃は、ネットなどが存在しなかったため、親世代は医療に関する情報に疎く、医師や周りから言われたことを、特に疑問など持たずに信じていたように思う。しかし、現代では医療関係の情報が普及したことにより、薬局で処方された薬の副作用から、予防接種のリスクまでなんでも調べることができるようになった。その結果、心配性のママにとっては、全てを不安に感じてしまい、モンペ化するケースもある。都心に近い、新興住宅街にある幼稚園へ4歳になる娘を通わせている裕子さん(仮名)は、こう語る。

「出産した病院の母親学級で知り合ったママが、予防接種を一切打たない育児をしているんです。彼女はうちと同じで、結婚を機に引っ越してきたため周りに知り合いがおらず、幼稚園も同じなので、仲良くしないといけないのがつらいんです」

 予防接種は、市町村が主体となって実施するため、自己負担額が必要ない(あるいは一部のみ負担で済む)「定期接種」と、費用が自己負担になる「任意接種」の2種類に分かれる。「予防接種スケジュール」という用紙が、育児雑誌の付録になるほど、0歳の時点で打つ必要があるワクチンは多く、その数は6~7種類も及ぶ。生後2カ月を過ぎると接種可能となるが、全てを接種すると、半年間の間に15本ほど打つことになるのだ。病院によってワクチンの価格に差があるだけではなく、同時接種可能な医院や、予約制接種のみなどシステムもバラバラなため、乳児を持つママたちの間では「ヒブはもう打った?」というような、予防接種の話題が尽きないのである。

 金銭的な理由で無料の「定期接種」のみを希望するママもいるが、副作用のリスクが心配なために全ての予防接種を打たせていないママも存在している。

「打たない育児をしているママは、それを人に勧めてくる傾向があります。『あなたが予防接種を打たせているのは、その危険性を理解していないからだ』って、独自の理論をぶつけてくるんです。SNSなどでも、盛んに予防接種や薬のリスクなどが書いてある記事をシェアしているので、フィードをミュートしました」

 裕子さんが通っている幼稚園では、入園前に母子手帳を園に預け、予防接種を受けているか確認されたという。その際に、園から呼び出された打たない派のママは「打っていないと入園できないって、どこにも書いていないですよね?」と園側に訴えたそうだ。

「最近、はしかがはやっているというニュースを見て、真っ先にこの親子が浮かびました。集団生活は、誰でも病気になるリスクがあるので、本当は打ってもらいたいんです。ネットなどで見た知識だけで危ないと決めつけないで、必要なものは予防してもらいたいです」

 裕子さんは、園で病気がはやった時、娘に“打たないママの子ども”に近づかないようにと伝えているという。子ども同士の付き合いにまで影響する予防接種問題。やみくもに不安を抱えて園内でトラブルを起こすのではなく、正しい知識をみんなで共有し、学ぶ機会が必要なのかもしれない。

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