【連載】モンペと呼ばないで! ~怒れるママたちの叫び~

「予防接種を打たせないママ」に幼稚園が困惑――「子どもの付き合いにも支障」とママ友が悲痛の訴え

2018/05/08 20:10

「アレルギーの子は別室で食事」が問題に

 予防接種と同様に、ママたちを悩ますのが子どものアレルギー。最近では、花粉症になる幼児が増え、外遊びの際に、花粉対策用めがねやマスクを着用する園児の姿も珍しくない。都内にある保育所にもうすぐ3歳になる男児を預けている真理さん(仮名)は、若い保育士の対応に不満を覚えた。

「うちの子は、保育園から帰ってくると、いつも目を赤く腫らしていたんです。最初は、誰かと喧嘩をして泣かされて帰ってきていたのかと思ったのですが、保育士さんに聞いても『そんなことはありません』と一言だけ。保育園でも変わった様子がないというので、それ以上は聞けませんでした。でも別のクラスのママ友から『花粉症じゃないの?』と言われて、病院で検査したらアレルギーが見つかったんです」

 真理さんの子どもが通っている保育園は、保育士の離職率が高く、就職して2年目でクラス主任となる保育士も珍しくない。

「花粉症がすぐわからなかったのって、経験不足だと思うんですよね。別の園児も、腕や膝を掻く癖があって、ベテラン保育士だと保冷材で冷やしてくれたのですが、4月になるとそういう気が利かない新しい保育士も増えるので、親の方が気をつけないとって思っています」

 一方で、小規模保育園で保育士をしている葵さん(仮名)は、食物アレルギー持ちの園児の育児は通常の何倍も大変だと語る。


「うちの園は小規模なので、子ども一人ひとりに沿った保育を行っています。そのため、ほかの園が決まっていたのに、アレルギーやぜんそくが原因で断られた園児などが駆け込みで入園してくることもあるんです。保育士のほかに栄養士もいるので、アレルギー持ちの子の代替え食にも対応しているんです」

 アレルギーを持つ子には、アレルギーを起こす食材を使わないで作られた食事「除去食」が提供される。アレルギー食は食器の色を変えるなど、間違いを起きないように気を付けているが、子どもが勝手に別の子の食事を食べたりするなど、トラブルも少なくない。そのため、アレルギーの子だけ別室や別テーブルで食事を取らすこともあるという。

「以前、入ったばかりの保育士が、卵アレルギーがある子どもに、おやつでボーロを出してしまったんです。少量ですぐ吐き出したから大丈夫だったのですが、ものすごい剣幕で親から注意されました。それ以来、アレルギーの子は別室というルールが徹底したものの、今度は、ママから『差別するんですか』とクレームが入ったこともありますね……」

 命に関わることとはいえ、長い時間を過ごす保育士たちにとっては、心が休まる暇がない。「本当に心配だったら、弁当を持参してもらいたいのですが、それはワーママだと面倒らしくて。こちらも完全にアレルギーを除去できているのか、ひやひやしています」と葵さんは語る。

 保育園や幼稚園という、最初に子どもが属するコミュニティは、保育者たちの気遣いを越えたサービスで賄われている部分もあるのだろう。子を持つ親にとっては、子どもの健康は重大事項である。親側と保育者双方が、子どものために何をすべきか考え、実行していく――そんな協力体制を組めることが重要なのかもしれない。
(池守りぜね)


最終更新:2018/05/08 20:11
保育園に入りたい! 2018年版 (日経BPムック 日経DUALの本)
予防接種問題はかなり根深い問題だよ