W不倫15年、彼が脳梗塞で帰らぬ人に――「彼の最期に立ち会ったのは私」と語る女の胸中
20年近く不倫の取材をしてきたが、このところ「長期不倫」の話を本当によく聞く。短くて8年、あとは12~15年くらいが多い。独身の場合は「子どもがほしい」「結婚したい」気持ちに折り合いをつけるのは容易でない一方、W不倫の女性にとっては、案外、長期不倫は合理的な関係ではないかと思う。そんな女たちの声を全7回で聞いていく。
(第1回:「出産リミットが見えて焦りが」長期不倫8年目、結婚と出産願望で揺れる38歳の岐路)
(第2回:「40歳を迎えてラクになった」19歳から10年不倫を繰り返した女の、結婚・出産願望)
(第3回:「産まないという選択肢はなかった」W不倫12年、“彼”との子どもを育てる女の決意)
(第4回:不倫20年で「妻バレ」して破局……出産・結婚もあきらめた女が苦悩する「私の存在意義」)
社内W不倫のはじまり
結婚してから本気で人を好きになることはあり得る。そのとき、どういう選択をするかは個人の意思による。どういう選択をしても第三者がとやかく言うべきではないと思う。
ミヤさん(49歳)が、3歳年上のリョウイチさんと知り合ったのは30歳のとき。結婚して3年目、1人目の子が1歳の誕生日を迎えてすぐのことだった。
「産後、半年ほどで前に勤めていたところとは別の職場に就職したんですが、そこで知り合いました。一目見たときから気になってたまらなかった。どうしてかわかりませんが」
運命の出会いだったのかもしれない。だが当時、33歳のリョウイチさんにも家庭があった。
「仕事仲間として接していましたが、気持ちは彼に惹かれていました。夫との関係が悪かったわけではないんです。夫は同い年でしたから、一緒に家事をして一緒に子育てもして。同志のような関係だし、絶対的な信頼感を持っていました」
それでも恋心は止められない。今までの自分にはない焦燥感も覚えた。
「そもそも私、そんなに恋愛体質ではないんです。結婚するまでに付き合ったのは3人くらい。それも、さほど長くは続かなかった。仕事が楽しかったせいもあります。夜勤もある仕事なので、『仕事と僕とどっちが大事?』と聞かれたことも。もちろん仕事をとりましたが(笑)。そういうことを言わなかったのは夫だけ。それなのに、リョウイチさんに対してだけは、自分が感じたことのないような胸の痛みがあった。本当に人を好きになると、実際胸が痛くなるんだと初めて知りました。このまま、彼とただの仕事仲間でいいのかと考えると、体中から冷や汗が出るような感じになるんです」
恋の病は重症だった。そして実は、リョウイチさんの方も彼女が好きでたまらなかったのだという。もちろん、それは後からわかったことだが。
「職場の懇親会で隣同士になって飲んだり食べたりしながら、彼とよくしゃべりました。一次会の後、2人だけでこっそり二次会に行って。『こんなことを言ってはいけないとわかっているけど』と彼が告白してきたんです。うれしかった。同じ気持ちでしたから」