知られざる女子刑務所ライフ34

「アカオチ」「M浴」「セッケン禁止」……元女囚が教える“役に立たないムショ用語講座”

2018/03/18 16:00

「M浴」は女子刑務所独自の用語

 こういうのはチョーエキ用語ですが、官(施設側)の用語もあります。たとえば「ガンセン」。「願箋」と書きます。薬を飲むにも、手紙を書くにも、まずは願箋に「願い事」を書いて刑務官に渡して、いちいち許可をもらわなければなりません。たとえば風邪薬や胃薬などはいっぺんに飲まないように、1回分ずつもらわなくてはいけないのです。で、いちいちそのお願いを書くんですね。字が汚いと読めないと言われて却下されるので、みんながんばって丁寧に書いた結果、出所の頃には字がきれいになっている……そんな話がありますが、どうでしょうねえ。都市伝説ですかね。でも、たしかにムショ帰りの人は字を丁寧に書く人が多い気もします。

 あとは、「セッケン」ですね。「接見」と書きますが、面会のことです。取り調べの段階で否認していると、セッケン禁止処分を受けることがあります。「外部の人に証拠隠滅を指示するから」とか言われますが、面会も刑務官が立ち会うので、指示なんかできるわけがありません。「否認しているとこうなる」ちゅう単なるイヤガラセやと思います。

 これを「石けん」と思っている未決囚がたまにいてるそうです。ある親分さんが、入浴の時に石けんを使わずに体を洗っているコを見かけ、「このコは石けんも買えんのかいな?」と思って、「これ、使う?」と自分のを差し出してあげたら、「あのう……ボク、セッケン禁止なんです」と言われたそうです。ホンマかいな!? と思うでしょ? ホンマやそうです。

 ほかにも生理中の人がまとまって最後に入る「M浴(エムヨク)」もあります。Mとはメンスのことらしいですが、今どきメンスなんて言いませんよねえ。

 ほかにもお風呂に入れない時に体を拭くシキシン(拭身)、自殺防止のために缶詰を刑務官が開けるカイカン(開缶)、刑務所にリョウチ(領置、預けること)している私物を家族や友人に渡すタクサゲ(宅下げ)なんかもあります。領置品を自分で使うのはシャサゲ(舎下げ)ですね。房内の抜き打ちのガサ入れ(家宅捜査)みたいなのはソーケン(捜検)となります。


 まあこんなことを覚えても、使う時が来ませんように(笑)。

中野瑠美(なかの・るみ)
1972年大阪・堺市生まれ。特技は料理。趣味はジェットスキーとゴルフ。『ダウンタウンなう』(フジテレビ系)や『新・情報7daysニュースキャスター』(TBS系)などへの出演でも注目を集める。経営するラウンジ「祭(まつり)

最終更新:2018/03/30 18:07
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確かに覚えても仕方ないかも