「日本行方不明者捜索・地域安全支援協会」理事長・田原弘氏インタビュー【後編】

行方不明者の捜索番組にヤラセ疑惑、悪徳探偵――“失踪者”と家族を取り巻くキケンな状況

2018/02/22 18:00

船上で忽然と消えた男性

――これまで実際にサポートされた中で、印象深かったケースを教えてください。

田原 船の客室に身分証やお金などを置いたまま姿を消してしまった男性の件でしょうか。乗船した証拠となるチケットはあるのに、目的地に着いても降りてこず、船中を捜してもどこにもいなかったそうです。航路の途中で海に落ちた可能性もありますが、出航直前に見送り客に紛れて下船した線も有力とされています。事故に遭遇したのか、失踪目的の計画的な行動なのかもわからず、彼自身もいまだ見つかっておりません。ほかにも、調査していくうちに、失踪宣告を悪用した保険金狙いの疑いが濃くなっていった事案や、見つからないように工作していることがわかった事案などもありました。

――MPSの活動を通して、行方不明者についてどのように感じていますか?

田原 どのような理由から行方不明になっていても、残された家族の心配は同じです。「あの時こうしていれば……」など、自責の念に駆られているご家族も本当にたくさんいます。事件や事故の場合はもちろん、たとえ本人の意思で姿をくらましたとしても、1人でも多くの行方不明者が家族の元へ戻れることを常に願っています。
(取材・文=千葉こころ)

特定非営利活動法人 日本行方不明者捜索・地域安全支援協会(MPS)公式サイト


最終更新:2018/02/22 18:00
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