「non・no」が考える“男子の妄想”は少女漫画すぎ!? リアルから遠ざかる女子大生の恋愛観
続いて専属モデル新川優愛による着回しストーリー「くいしんぼう優愛の寒~い2月こそスタイルUP命(ハート)着回し15days」を見ていきましょう。「スタイル抜群でみんなの憧れだけど、実はかなりの食いしん坊」の優愛は、着やせが得意という設定。ゆるブルゾンにピタッとミニスカを合わせて華奢見せしたり、Vネックで小顔に見せたりと、ありとあらゆる着やせテクを披露してくれます。が! もともと小顔で8等身モデルの新川なので、着やせテクの効果がイマイチよくわかりません。せめて読者モデルを投入して、「Before/After」を見せてほしいものです。
さらに、「来週からテスト! 授業に集中、集中、しゅう……シューマイ食べたい!」「バイトはパン屋さん。余ったパンをもらえるんだ♪ 今日もフランスパン3本ありがとうございます!」「学食で大盛りカレー注文したら、あのカレが近くに! あわわわ、ドキドキして2杯しか食べられなかったよ(涙)」「女に磨きをかけねば。恋愛映画を見てきたよ。でも、あの女優さんが食べてたパスタおいそうだったな~」など、これでもかというほどに食いしん坊キャラを押し出してくるので、コーディネートよりもそちらの方が気になってしまい、一体全体、何の企画なのかよくわからなくなりました。
以前も指摘しましたが、「non・no」では、専属モデルに変なあだ名を付けたり(本田翼=ばっさー、など)、彼女たちのオタクっぽい趣味を紹介したりと、モデルたちの親しみやすい一面をたびたび読者に見せています。男子ウケではなく女子ウケを狙うことで、ノンノモデルを身近に感じてもらい、読者である女子大生たちの共感を集めているようなのです。ただ、明らかに美人なモデルたちが過剰に自虐に走ったり、媚びを売るのも、それはそれでわざとらしいというか、嫌味な感じがしてしまうんですよね。それでもやっぱり、ノンノ女子の世界では、“みんな同じ”“みんな仲良し”という価値観が一番大事なのでしょうか。
■バレンタインは単なる“インスタ映え”イベント!
最後に見ていくのは「チョコ好き女子のための(ハート)チョコレートBOOK」です。やはり2月といえばバレンタイン! しかし、「フォトジェなチョコがいっぱい!」「味はもちろん見た目もカワイイ、『いいね!』がもらえる女子による女子のためのチョコレシピ★」というキャッチからもわかるように、ノンノ女子たちにとってのバレンタインは、意中の男子に告白するor彼氏にあげる、という恋のイベントではなく、単に“インスタ映え”するイベントの1つなのでしょう。
確かに今月号のどこにも「片想いの彼に告白テクニック」とか「愛されモテファッション(ハート)」などといった企画は見当たりません。あったのは、「バレンタインは『絆買い』が絶対楽しいー!」というバレンタインジャンボの広告記事のみです。また「チョコ好き女子のための」と銘打っている割には、紹介されているチョコは「ピエール マルコリーニ」や「カカオサンパカ」といった百貨店の催事売り場ならどこでも手に入るようなベタなチョコばかり。今年から、前売り入場券が必要となったチョコレートの祭典『サロン・デュ・ショコラ』でしか手に入らない限定チョコレートを紹介するほどの気概は見られません。まあ、“チョコ好き”ではあるが“チョコオタク”ではないってことでしょうか。
しかし、しまいにはインスタ映えを意識しすぎるあまり「フルーツサンド」「サクサクミルフィーユパイ」「りんご煮ワッフルバー」など、ただ見た目が華やかな手作りスイーツレシピが紹介されているのは驚きです。もはやチョコレート関係ないじゃん! とりあえず、みんなでワイワイ仲良くスイーツを作って、その様子をストーリーにアップして、出来上がりをインスタに載せて、楽しいイベントになればいいのかな、と理解しました。
ちまたではゴディバが義理チョコ廃止を訴えたり、バレンタインプロポーズを狙った32万円のダイヤモンド入りハンバーガーが物議を醸していますが、ひたすら平和な「non・no」の世界もそれはそれでいいのかもな~と思う筆者でした。
(橘まり子)