インタビュー【前編】

“ぽっちゃり”女性と男性のコンプレックス、モテ意識はどう違う?【la farfa×Mr.Babe編集長対談】

2018/02/25 19:30
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「ラ・ファーファ」編集長・清水明央氏

清水 「ラ・ファーファ」の場合は、モテはあまり意識してないですね。自分のおしゃれすら楽しめなかった女の子たちが、やっと「自分の着たい服が選べる」というファッションの入口に立ってきたところなので、モテはハードルが高くて誌面の中ではまだ踏み込めていないです。

倉科 そもそも女性は「モテたい、モテたい」と言わないですね。

清水 そうですね。以前、“赤文字系”はやっていましたけど、その後、媚びない強い女子が支持されるようになって“モテ”は下火に。「ラ・ファーファ」の立ち位置はニュートラルにしています。

倉科 「ミスターベイブ」では、毎回女子アンケート企画を掲載しています。「太っている男性がタイプ」といった声には読者の反響も大きいのですが、中には「ヤラセでしょ」「しこんでるんでしょ」と疑ってかかってくる読者も多い。というのも、「太っている男を結婚対象、恋人対象にするわけがない」と思い込んでいる内向きの読者が多いんですね。ガチンコで女の子を集めて座談会をしたり、リサーチ会社にランダムに調査してもらったりした結果なんですが……。実際に雑誌を作っている私からすると、「自分もまだまだイケるな」と自信を持ってしまうほどですから(笑)。そのテンションを誌面でお伝えしたくて毎回掲載しているんですが、「ネガデブ」の思い込みを一つひとつ取り除くのは時間的にはかかりそうです。

――男性は経済力、地位で判断されることが多く、一方、女性は容姿という価値観がいまだに世間にははびこっていると思われます。その中で、「太っていること」が大きなマイナスと捉えがちなのは、やはり女性のような……。


倉科 いや、女性と同じ感覚は男性もありますよ。晩婚といわれている時代、普通体型の方でも結婚したいのに結婚してない方、女性と交際していない方は多い。普通体型でもモテないなら、ましてや太っている俺は……と考えると、外に出たくなくなってしまう。僕を筆頭に男性は傷つきやすいんです。

清水 女性はそういった悩みが10代の頃から始まっています。例えば、「ラ・ファーファ」専属モデルのNaoは、高校生の頃に付き合っていた彼から、「もう少し痩せてほしい」と言われたのをきっかけに、無理なダイエットを始めたそうです。それで精神と体に負荷がかかり、リバウンドして痩せたり太ったりを繰り返して、摂食障害になってしまった。ほかの女性の中には同様のケースで、命を落とす直前まで苦しんでいた方もいるようです。太っていることはダメなことで、どう生きていけばいいかすらわからない、というレベルの状況まで行ってしまい、一度そのループに入ると抜け出せなくなって、親にも相談しづらいようです。

 Naoは20代になって、たくさんの人のプロフィール写真を扱うアルバイトをしているときに、何千枚もの写真を見て、いろいろな体型の人がいることを知り、「今の自分のままでいいんだ」と受け入れられるようになったそうです。それで、摂食障害も克服できた。編集部では毎月モデルの面接をしていますが、「私は『ラ・ファーファ』のモデルになることで自信をつけたい、自分を変えたい」と応募いただく方が多いですね。

la farfa 2018年 03月号 [雑誌]