「彼の“公の顔”は立派」DV逮捕の三橋貴明、元妻が綴っていた鋭い人物描写
経済評論家・三橋貴明氏が、妻へのDVで逮捕された一件が大きな波紋を呼んでいる。10代の妻を殴打などしてけがを負わせたとして、傷害疑惑で1月6日に逮捕された三橋氏は、8日に釈放された。同氏は、これまで韓国を攻撃するヘイト本を多数出版し、その筋の読者から熱狂的な支持を得てきた人物。夫婦別姓反対や排外主義、原発推進などを掲げ、一度は決裂したものの安倍晋三首相を熱狂的に支持し、昨年末には会食まで果たした安倍応援団の論客でもある。
そのためか、一部からは「妻のハニートラップ」などとの擁護論や、被害者である妻へのバッシングまで起こっている。また、三橋氏は8日に釈放されており、本人が今後「冤罪だ」と主張する可能性もあるだろう。
しかし、今回の逮捕は被害者の妻が直接通報したものであるうえ、昨年にも二度、妻への暴力で警察に通報されていたことも判明している。どんな言い訳をしても説得力は薄い。また、ここにきて、三橋氏の元パートナーと思われる女性がDVについて、興味深いブログを書いていることがわかった。
この元パートナーとは、作家のさかき漣氏。さかき氏はこれまで三橋氏と連名で5冊の本を出版。私生活でも婚姻関係にあったといわれており、実際、三橋氏本人もラジオ番組のネット動画配信の中で、さかき氏を妻だと示唆したこともある。
そのさかき氏が、2年半ほど前に自身のブログで、DVや虐待について詳細に言及していたのだ。
三橋氏を想起させる人物分析と描写
15年6月19日のブログには「DV加害者の二枚舌と“共犯者の存在”」と題された記事がアップされている。
<まず確認しておきたいのだが、DVや虐待の意味するところは、「家庭内のいざこざ」というよりも「殺人未遂」という方がより真実に近い。一部のひとが“勘違い”しているような、「痴話喧嘩」「しつけが行き過ぎた」などでは断じてないだろう>
DVは殺人。そう分析しているが、さらに興味深いのはDV加害者像の分析だ。さかき氏はそれを “サディスト”としながら、しかし同時に“公の場においては非常に人当たりが良い”として、加害者を“彼”と称してDVについて論考する。
<実は彼、この公の場において、穏やかな笑顔や挨拶を周囲にふりまきながら、内心に巨大な負の感情をつのらせているのである。つまりは「なぜ俺がこんな馬鹿ども相手に頭を下げなきゃならないんだ」という憤懣の鬱積である。そして鬱積が最高潮になった状態で、彼は帰宅する。するとそこには、自分の飼い犬(つまりは餌も寝床も生殺与奪の権さえも自分が握っている生き物)が“いる”ではないか。密室であり傍観者は誰もいない今、彼は、本日のすべての鬱憤を弱者にぶつける・・・>
<「このメシは誰のお蔭で喰えるんだ、言ってみろ、クソババア」
「あなたのおかげです」
「感謝しろ。“さっきのこと”は、自分が悪い人間だから叱ってもらったのだと認めて土下座しろ」
「私が悪いからです、あなたは悪くありません、申し訳ありませんでした」
「よし、喰え。俺ほどあんたのことを大事に思っている人間はいない、分かってるよな。あんたは俺の庇護がなければ生きていけないんだ。明日は服を買ってやるぞ」
そして彼は、また翌日も、穏やかな笑顔でもって颯爽と社会へ出ていくのだ。
「ええ、DVなど言語道断です。もしも家族を殴るような奴がいたら、私なら犯人を殺しにいきます。まあうちの妻は気が強いからそんなことはあり得ませんがね、私は完全に尻に敷かれてますよ・・・今日もブランド品をねだられていまして(笑)」(インタビューに答えて)>
もちろん、これは“犬”を被害者(女性)に見立て、あくまで一般論として書かれものだ。しかし、生々しい描写は体験者ならではと思わせるもので、さらに“彼”がインタビューに答える設定などは、どうしても三橋氏とオーバーラップする。
さかき氏のDV・虐待問題は非常に鋭いものだ。例えば、傍観している周囲に対してもこう憤る。
<「しかし彼の『公の顔』は立派だから、虐待については不問とし、今後も懇意にしていく(または協力していく、もしくは応援していく)」という人がいたなら、それはつまり加害者の殺人未遂の罪を容認したうえ被害者の懊悩を愚弄しているということで、広義においては“人殺しの共犯”と呼ばれても仕方がないのでは、と私は敢えて苦言を呈したい>