プラスサイズモデル・りょーさんインタビュー

20キロ増量したプラスサイズモデルに聞く、“デブ活”の苦労と「日本人女性の美意識」

2018/01/04 15:00
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りょーさん

 歌手や声優、アイドルなど、幅広い芸能活動を行っているりょーさん。彼女は、近年注目されている「プラスサイズモデル」というジャンルでも躍進中だ。あえて「デブ活」をして約20キロの増量に成功したものの、世間からの目は大きく変わり、モデルとして活躍する今も、さまざまな苦労が絶えないという。たかが体重、されど体重。「デブ活」をした理由、彼女を取り巻く現在の環境、そこから見えた日本人の美意識について話を聞いた。

■日本人は「何かが足りない人」が好き

――りょーさんは最近、音源付きの写真集を出したそうですが、そもそもなぜ「プラスサイズモデル」になろうと思ったのですか?

りょー プラスサイズモデルの仕事を始めたきっかけは、「居場所がない人に、居場所を作ってあげたい」という思いからでした。趣味がない人や、本当に心から信頼できる人がいない人は、自分から「寂しい」とか「孤独だ」と言えないと思うんです。だからこそ、手を差し伸べたい。「いつでもあなたと一緒にいるために」という思いで、写真集も持ち運べる文庫サイズの小さなものにしたんです。

 歌手やアイドルとしてなら、ファンの方にとってライブハウスが居場所になって、声優としてであれば、携わったコンテンツが誰かの趣味になることもありますよね。ぽっちゃり好きの男性は、「私はぽっちゃり好きです」って声を大にして言いにくいようです。「お前デブ専かよ!」と言われて、なかなか価値観を共有できない風潮があります。「ぽっちゃり」って形を表す言葉ですが、「デブ」は言われる人にとっては悪口ですからね。キラキラした「ぽっちゃり」として活躍することで、なかなか自分の嗜好を共有できない人たちに対して、少しでも居場所を作れてるのかなと思ってます。


――「ぽっちゃり好き」と言いにくいのは、一般的に世間では「美しい=痩せている」と考えられているからですよね。この常識について、どう思いますか?

りょー もはや文化だなと。どうしても日本人は、「かわいい」を求めると思うんですよ。「かわいい」って、何かが足りてない人のことだと思っていて、対する「きれい」とか「美人」は、「見上げる存在」「あがめたい存在」といった感覚です。「かわいい」って、体が小さくてきゃしゃとか、ちょっと抜けてるとか、言い換えれば「力が劣ってる人」「見下ろしていい存在」という印象が強いと思うんです。これが、日本人の男性が持っている感覚や、求めているイメージだと思います。

――「力が劣ってる人」「見下ろしていい存在」を求めていると聞くと、残念な感じがしますね。

りょー そうかもしれませんが、わかる気がしませんか? 誰だって、ないものを求めるじゃないですか。女性も力の強い男性に惹かれたり、背の高い男性を魅力的に感じたりする人は多いですからね。

la farfa【ラ・ファーファ】2018年1月号 [雑誌]