カルチャー
大妻女子大学准教授・田中東子先生インタビュー【後編】

「壇蜜の宮城PR動画」「サントリー頂」他、“性差別”CMの問題は「演出ではなく構造」? 

2018/01/03 17:00
「涼・宮城の夏」公式サイトより(※現在は削除済み)

(前編はこちら)

■おっぱいを強調するCMはあっても股間を強調するCMはない

――「女性も男性を顔で選ぶようになった」というお話がありました。ジャニオタや腐女子などが、男性を消費していること自体に嫌悪感を示す男性もいますよね。

田中東子氏(以下、田中) これまで男性は女性を消費したり、商品化したり、性的アイコンにしてきたわけですが、ジャニオタや腐女子などは、まさにそれを男性に対して行っています。それがムカつくんでしょう。あと、対象になっているイケメンを、男性がバカにする風潮もあるように思います。男性も女性も、「消費の対象とみなされる」「もの扱いされる」というのは、共通して不快感を覚えるのでしょう。ただ、“個人向けの趣味のもの”と、“公共性のあるCM”とでは話が全然違います。CMで、水着の女の子を出す必然性はあるのか? おっぱいを強調する必然性はあるのか? 女子高生をやたら出す必然性はあるのか? どうしてCMを作るときにそれを問わないのかと感じますね。

――CMにおいて、女性を性的アイコンとして描くように、男性を性的アイコンとして描けば平等かという話でもないですよね。

田中 例えば、炎上したサントリー「頂」のCMは、男性が出張先で現地の女性たちと出会い、食事をともにする様子が描かれているのですが、その女性たちはおっぱいを強調してきます。もしこれが男女逆転していたとしたら、どうでしょう。女性が出張先で次々イケメンと出会い、その男性が股間を強調してくる……それって多くの女性が、怒るというより怖いと思うでしょうし、あり得ない内容ですよね。そもそも「セクシーな男性に女性がチヤホヤされるCM」ってあんまり想像できない。これまでの社会の中で、どういった立場に置かれていたかで、その人の怒りのポイントは違ってくるんです。先ほど指摘したように、男女でどういった差別表現に不快感を覚えるかは、共通点もある一方、異なる部分も多いのではないでしょうか。

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