深澤真紀の「うまないうーまん」第19回

女性議員の女性差別やセクハラで見つめ直したい、「女性の多様化」の意味

2014/09/22 21:00
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イラスト:小野ほりでい

 女性政治家をめぐる2つのニュースが話題になった。

 ひとつは、先日の内閣改造によって生まれた女性閣僚たちだ。過去最多の5人の女性閣僚が誕生し、さらに党三役の政調会長を入れれば6人と、安倍内閣は「女性活躍」を謳っているのだが、これらの女性閣僚たちの多くが「女性差別」思想の持ち主ではないかと言われている。

 たとえば、女性活躍担当大臣。よく言われるように、本当にセンスのないネーミングである。これまで男女共同参画担当大臣という通称(正式名称は「内閣府特命担当大臣(男女共同参画担当)」)だったのに、こう変わったのには理由がある。今回任命された有村治子大臣が、男女共同参画などに反対する保守系政治団体「日本会議」の国会議員懇談会のメンバーだからだ。

 「男女共同参画」と「女性活躍」のなにが違うのかと思うかもしれないが、男女共同参画は保守派の嫌いな「男女平等」のイメージだが、「女性活躍」であれば「女性は男性とは違う」というイメージを持たせることができるからだ。日本会議のメンバーは、有村だけではなく、高市早苗総務大臣、山谷えり子拉致問題担当大臣もそうである。また稲田朋美政調会長は、男女共同参画社会基本法に反対しているし、いまの安倍内閣では「女性活躍」といいながら、「女性差別」をする女性閣僚が多いと言わざるを得ない。
(詳しくは、リテラのこの記事も読んでみてほしい)

 もうひとつは、「週刊文春」(文藝春秋)で露見した、橋本聖子議員の高橋大輔選手へのキス問題だ。


 一部には、「こんなの飲み会のノリなんだから」とかばう人もいるようだが、橋本聖子は日本スケート連盟会長をつとめる自民党の参議院議員で49歳。一方の高橋大輔は28歳の一フィギュアスケート選手だ。しかも「週刊文春」に掲載された写真では、橋本が高橋の唇や首筋にキスをしていて、ノリというのにはあきらかに行きすぎている。なによりも2人の間にはあまりにも権力の差がありすぎ、女性から男性へのセクハラだと言えるだろう。

 騒動の当初、橋本は入院中ということでコメントを出したのみだったが、高橋はアイスショー公開リハーサルで、「五輪に向かう緊張感の中で禁酒をしていたこともあり、打ち上げのところでお酒が入ってはしゃぎすぎた。ただ、僕自身もパワハラ、セクハラがあったとは一切思わない。大人と大人がちょっとハメを外しすぎたのかなと思います。すみませんでした」などと謝罪。

 「なぜセクハラをされたほうだけが謝罪するのか」という声も多かったことから、橋本もやっと会見し、「スケート連盟の理事会で会長職についての辞意を表明したが、理事会に慰留され続投を決めたこと」や「フランクにやった方がリラックスできるという雰囲気もあって、盛り上げる場に乗ってしまったというのが正直なところ。その場は決して悪い雰囲気ではなかったというのをご理解頂きたい」と、謝罪というよりも言い訳するにとどまった。

日本の女は、100年たっても面白い。