芸能
おばんさんが大活躍

業界人に聞いた、テレビの重大事変2017! 「テレ朝自滅」「ネットの“テレビ批判”横行」

2017/12/31 15:00
梅沢富美男オフィシャルブログより

 2017 年のテレビ業界も、さまざまな話題が上った。一体どんな年だったのか振り返る意味で、業界関係者に印象的な重大トピックスを聞き、ランキング形式で挙げてみた。

1位:おじさんが大活躍

 CM起用社数ランキング(ニホンモニター調べ)で12本と1位に輝いた遠藤憲一(56歳)、「ゆるキャラ」的存在で人気となった加藤一二三・九段(77歳)のほか、「バラエティ番組の会議で一番名前が挙がる」(放送作家)という梅沢富美男(67歳)、「年を取ったことで甲高い声が低くなり、滑舌も悪くなり、体にムチ打つ感が『けなげ』と思われるようになった」(同)と評判の出川哲朗(53歳)など、おじさんブームが到来。「TOKIO・城島茂も安定の老化をたどっています」(制作会社スタッフ)と、次なるおじさんも育っている。

 おばさんもすごかった。性格が豹変する豊田真由子元議員(43歳)はもちろん、「この世の喜怒哀楽をかき集めた感情の塊。ワイドショーを盛り上げた」松居一代(60歳)、不倫相手の医師が悪目立ちした斉藤由貴(51歳)、号泣の不倫謝罪会見の藤吉久美子(56歳)など、老いてますます盛んな猛女の当たり年だった。

第2位:連続ドラマ、視聴率1ケタが常態化

 視聴率は1ケタが当たり前の時代に突入した。NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』の筆力でさらに評価を高めた脚本家・岡田惠和は、金曜午後8時のドラマ『ユニバーサル広告社~あなたの人生、売り込みます!~』(テレビ東京系)で、沢村一樹に和久井映見、三宅裕司にやついいちろうと『ひよっこ』主演者を大挙して出したものの、12月1日の最終回は2.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)、全話平均3.9%と今期連ドラ最低視聴率を記録。ほかにも、「共演者の窪田正孝と水川あさみの熱愛が発覚した『僕たちがやりました』(フジテレビ系)は全話平均6.0%、スキャンダルで自滅した香里奈が復活して主演を務めた『嫌われる勇気』(同)は同6.5%で、特にフジドラマの爆死が多かった」(芸能ライター)。

3位:元SMAPメンバーを民放が黙殺

 元SMAPの稲垣吾郎、香取慎吾、草なぎ剛の活動が、民放ではスルーされている。「『アッコにおまかせ!』『王様のブランチ』(ともにTBS系)など取り上げる番組もありますが、ほかはほぼ無視。気持ちの悪い状況が続いています」(テレビ局関係者)。不自然なテレビ局の姿勢に、お茶の間はとっくに気づいているというのに、18年もスルーし続けるのだろうか? 

4位:「土ワイ」移設で自滅したテレビ朝日

 全日(午前6時~深夜0時)、ゴールデン(午後7時~午後10時)、プライム(午後7時~午後11時)の3つの時間帯で1位を獲得したときに付与される肩書「視聴率三冠王」。今年の年間視聴率も年明けに発表予定だが、日テレがゴールテープを切ることになりそうだ。日曜日の縦の流れはもちろん、月曜日も『有吉ゼミ』『世界まる見え!テレビ特捜部』『人生が変わる1分間の深イイ話』『しゃべくり007』と安定した流れになりつつある。

 2位のテレビ朝日は自滅。30年続いた『土曜ワイド劇場』を終わらせて日曜午前10時に移設したものの、常時4%と苦しい状況だ。「ほかにも、『金曜ロンドンハーツ』『アメトーーク!』など隆盛を支えたバラエティが一時の勢いを完全に失い、報道と『ドラえもん』だけしか売りのなかった頃のテレ朝に戻りつつあります」(放送作家)。

5:ネットユーザーの多大な影響位

 『バイキング』『ワイドナショー』(ともにフジテレビ系)を始めとして、ネットニュースで盛んに報じられた結果、視聴率が上向く番組が増えている。「『池の水ぜんぶ抜く』(テレビ東京系)、ゴールデンに昇格した『マツコの知らない世界』(TBS系)なども、ネットの威力によって人気番組へ一気に上りつめた印象がある」(制作会社スタッフ)とのこと。

 一方、ネットの声が番組を終わらせる遠因にも。保毛尾田保毛男騒動が起きた『とんねるずのみなさんのおかげでした』(フジテレビ系)をはじめ、番組を見ていない人も論争に参加するという事態が起こるようになった。「ネットユーザーによる“テレビ批判”は今後も続きそうです」(同)。

6位:TBSのバラエティに陰り

 「TBSのバラエティに脅威を感じると言われた時期もありました。確かに、『プレバト!!』『マツコの知らない世界』の視聴率は毎週2ケタではあるものの、『ニンゲン観察バラエティ モニタリング』はマンネリがたたり、息切れしつつあります。さらに、『サンデー・ジャポン』がいよいよ2ケタを割る週も出ている」(制作会社ディレクター)。

 TBSはドラマも好不調の波が激しい。「日曜劇場」の枠では4月、警察内部の戦いを描いた『小さな巨人』が平均13.5%で終えたものの、その直後の7月クールは恋愛ドラマ『ごめん、愛してる』を持ってきた。最終回は12.8%を記録し、平均9.7%でフィニッシュしたが、決して成功とは言えないだろう。さらにその後の『陸王』は最終回20.5%、平均16.0%と有終の美を飾ったが、「企業モノドラマのイメージが強い枠に、ラブストーリーを持ってくるTBSの編成の悪さが目立つ。枠の固定視聴者が離れる要因になる」(芸能ライター)。

 ヒットドラマにも、疑問符がつく。「『カンナさーん!』『コウノドリ』ですが、実は最高視聴率を出しているのはほぼオープニングシーンで、右肩上がりではありません。『カンナさーん!』は前の番組『マツコの知らない世界』、『コウノドリ』は『中居正広の金曜日のスマイルたちへ』のお釣りで見ているにすぎないのです」(放送作家)。

7位:フジテレビの求心力低下

 バラエティを席巻した加藤一二三・九段はもともと『アウト×デラックス』(フジテレビ系)から輩出された人物。ANZEN漫才・みやぞんのブレークも昨年8月の『世界の果てまでイッテQ!』(フジテレビ系)がきっかけのように言われているが、「その2カ月前の『みなさんのおかげでした』が見いだした芸人。それが広まらないあたりに、フジテレビの力が弱まっていると思われます」(芸能ライター)。

8位:「じゃない方芸人」の覚醒

「バイきんぐ・小峠英二の相方という役割でしかなかった西村瑞樹が『陸海空 世界征服するなんて』(テレビ朝日系)などで言い知れぬ存在感を発揮しています」(放送作家)「三四郎・小宮浩信じゃない方、相田周二が最近は堰を切ったようにしゃべり始めているのが気になる」(制作会社ディレクター)との声が上がった。18年は、コンビ間の露出格差が減るかもしれない。

9位:病気でわかったマツコの存在感

 耳の三半規管にウイルスが入り、めまいなどを発症、大事をとって都内の病院に入院し静養したマツコ・デラックス。『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)は総集編を放送するなどして対応したが、「マツコがいないと成り立たない番組も多く、その存在の大きさをあらためて思い知らされました。有吉弘行の番組であれば『有吉反省会』(日本テレビ系)しかり『有吉くんの正直さんぽ』(フジテレビ系)しかり、代役を立てられたかもしれないですが、マツコの代打はいない」(放送作家)。いずれにしてもテレビ界はいつまでマツコに頼るのであろうか。

 東京オリンピックまであと2年。海外からの目もより注がれることになるが、タレントの不倫やら「お母ちゃん!」と生電話して泣きわめく女性を生中継する日本のテレビをどう思うのだろうか? できるだけ襟は正してほしいものだが、果たして……。
(村上春虎)

最終更新:2018/01/04 19:26
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