サイゾーウーマンカルチャースポット上海ディズニーランドを研究者が解説 カルチャー 中島恵氏「上海ディズニーランド」レポ 上海ディズニーランドとTDRは違いすぎる!? テーマパーク研究者が驚愕した「5つの意外な点」 2017/11/25 16:00 スポット ほかにも苦戦したポイントが…… 【その5】ディズニー上級者の戦略は一切通用せず? ファストパスのあるアトラクションが東京よりやや少なく、上海では7アトラクションである(TDLは8アトラクション、TDSは9アトラクションにファストパスがある)。その代わり、ファストパスがあると東京より待ち時間が短い。東京ではファストパスがあっても15~20分は待たされることが多く、運が悪いと30分近く待たされることもあるものの、上海ではずっと早く乗ることができる。 それに関連して、東京ではファストパス発券後、2時間で次のファストパスを取れるようになることが多い一方、上海はそれより短時間で取得可能の場合も。筆者が10時30分に「トロン」という上海ディズニーにしかないアトラクションのファストパスをとったときは、11時55分から12時55分に乗車可能、次のファストパス取得可能時刻は11時55分以降、実に「1時間25分」で次のファストパスが取得可能だった。 この点においては、上海ディズニーランドの利点と思われるかもしれないが、これはつまり、「各アトラクションのパス発券数が東京より少ない」と推測できる。そのため、次のファストパス取得が遅くなると、すぐに完売してしまうのは大きなデメリット。筆者の来場日は、午後2時頃には、すでにファストパスは完売していた。東京ではこんなに早くファストパスがなくなる平日はないだろう。 上海では、東京ほどファストパスが機能してない。東京ではファストパスを駆使して戦略的にディズニーを楽しむ人が多いが、上海では戦略なしでアトラクションで待たされるため、とてもストレスフルである。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 上記のような問題点以外にも、中国語ができないのでキャストに何かを聞きたくてもほとんど聞けない点に苦労したのだ。 上海ディズニーが今後人気を出すために提案するとすれば、日本人客をターゲットにした日本語HP、パンフレット、ショー・パレード時間案内の作成である。ディズニーのパンフレットは中国語と英語のみなので、英語ができない日本人は遊ぶにも苦戦するし、行き当たりばったりでいろいろ苦労しているうちに30分くらいあっという間に過ぎてしまい、その積み重ねでほとんど乗れないまま待たされて不安な思いをする。それではリピーターにならないし、最低限しかお金を落とさないだろう。 これから上海ディズニーに訪れようとしている人にお伝えしたいのは、「経験として」「世界のディズニーランドを制覇するため」「上海旅行の一目的地として」「世界で上海にしかないアトラクションに乗るため」などの理由であれば一度行くことをお勧めするが、ただ漠然と「楽しそうだから」といった理由なら、もう少し様子を見て、アトラクション追加とキャストの人材育成が進むのを待ってから行った方がいいだろう。 中島恵(なかじま・めぐみ) 東京経営短期大学総合経営学科専門講師。ディズニーランドやユニバーサル・スタジオなどテーマパークの経営戦略を研究している。『東京ディズニーリゾートの経営戦略』『ディズニーランドの国際展開戦略』など著書多数。12月11日に最新刊『なぜ日本だけディズニーランドとUSJが「大」成功したのか?』(いずれも三恵社)を発売予定。 ブログ「テーマパーク経営研究室 中島恵ゼミナール」 前のページ123 最終更新:2017/11/25 16:00 Amazon なぜ日本だけディズニーランドとUSJが「大」成功したのか? 「夢の国」になるのって大変なんだなぁ 関連記事 レゴランド低迷が示す「ディズニーランドが強い理由」! 消えたテーマパークの失敗例レゴランドが見習うべき、V字回復テーマパーク――「サンリオ」「ハウステンボス」の秘策女たちが暴走すると男の存在は霞む……女の業に乗っ取られたディズニーランド素人が“行ってはいけない”パワースポット3選――強烈な怨嗟と悪念渦巻く神社とは?ディズニー・ハロウィーンは“地獄のイベント”!? 元キャストが明かす“クソ客”の実態 次の記事 『先に生まれた~』ありえない展開に >