中島恵氏「上海ディズニーランド」レポ

上海ディズニーランドとTDRは違いすぎる!? テーマパーク研究者が驚愕した「5つの意外な点」

2017/11/25 16:00

「価格」や「来場者の興味」にも違いが……

【その3】入場料、グッズ、飲食、全て高い!

 上海ディズニーのさまざまな料金を東京と比較してみよう。入場料は大人370元(約6,660円)。東京ディズニーランドと東京ディズニーシーはそれぞれ7,400円なのでこの部分は少しお得だが、上海ディズニーはシーズン価格および休日価格を導入している。土日祝日と夏休み中などのハイシーズンは499元(約9,000円)なのである。

 飲食は、フードコートでハンバーガー、フライドポテト、ペプシ等のソフトドリンクで約1,400~1,700円が最多価格帯。中華料理の肉か魚の炒め物、青梗菜など野菜の炒め物とご飯、ソフトドリンクのセットも同価格で、これは東京と同じくらいである。

 ポップコーンバケットは東京より安いが、東京のポップコーンバケットは豪華(ちなみに東京よりポップコーンのワゴンが少ない)。上海ではチュロスなど食べながらディズニーで遊ぶ習慣がほとんどなく、間食している人が少ないのだが、その理由は高すぎて買う気にならないからだろう。もっと薄利多売にしたらどうか。

 ちなみに、上海市一の繁華街「人民広場」駅の周辺(東京で言うところの新宿)にあるデパート「福来士広場」6階のフードコートでは、一食600~1,200円くらい。最多価格帯700~800円で、東京と同じかそれ以上である。上海ディズニーのフードコートでの一食は市街地の綺麗なフードコートに約2倍とあって、非常に高額な食事だ。上海市内の平均年収が100万円ちょっとと考えると、富裕層しか来場できないのではないだろうか。日本人にとっては、「日本より安く楽しめる」と思って行くと失敗する。


【その4】ディズニーの世界観&キャラクターに興味なし

 中国の建物は雑なイメージがある。突貫工事によって、後で事故や倒壊が起きたとネット上で見かける。ところが、上海ディズニーはアメリカのディズニー社が監督し、監視したため、造りは丁寧なのだ。

 ただ、建物は新しくて綺麗だが、キャストの質が東京の足下にも及ばない。キャストのやる気もホスピタリティも低い。ゲストのいる前でキャストたちが堂々とおしゃべりと「きゃはは」という高い笑い声が響くなど、東京ではあり得ない。しかもゲストが途切れているわけでもないのに。施設が立派なだけに「仏作って魂入れず」といった印象である。

 こうしたディズニーの世界観や非日常感に欠けるのは、キャスト側だけではない。東京のゲストの多くは「ディズニーの世界観」のファンで、あのメルヘンティックな世界観を楽しむために来ているのだろう。その世界観に浸るため、東京では多くの人がカチューシャ、帽子、Tシャツ、リュック、ダッフィのぬいぐるみなどを身につけているが、上海では盛んでない。ミニーの耳カチューシャを着けている人が一部いるだけで、ほかのキャラクターの耳を着けている人は非常に少ないのだ。

 また上海では、キャラクター・グリーティングの待ち時間が東京に比べて短い。例えば、プリンセスとのグリーティングは待ち時間がたったの20分で、東京では、短くとも40分、長ければ2時間くらい待たされる。それだけキャラクターを楽しむ人が少ないのだろう。


なぜ日本だけディズニーランドとUSJが「大」成功したのか?