福田久美子医師インタビュー

口臭治療専門医が答える意外な事実「歯磨きよりうがい」「舌クリーナーは逆効果」

2017/11/19 19:00

kousyu

 多くの女性が気にする“ニオイ”。中でも口臭はセルフチェックが難しく、また、周囲に指摘されることもめったにないため、「もしかしたら、自分の口臭はキツいかも……」と、不安に感じている女性は少なくない様子。なかには、マスクが手放せなかったり、人と会うことすらできなくなったりするほど、思い詰めてしまう人もいるという。

自分の口臭をチェックするにはどうしたらいいのか、臭わないためにどんなケアをすればいいのか、女性のための口臭治療専門プライベートデンタルサロン「Fukuda MKM」院長の福田久美子医師に伺った。

■10人に8人は口臭を気にしている

――先生から見て、自身の口臭を気にしている人は多いと思いますか?


福田久美子医師(以下、福田) 多いと思います。男女とも、10人いたら8人くらいは口臭を気にしていて、そのうち1人くらいの割合で、深刻な悩みとして抱えているのではないでしょうか。でも、自分は口臭がきついのではないかと悩んでいる方の中には、実際には臭っていない方もいるんですよ。

 ただ、ニオイレベルを数値化できる機器などで計測した結果をお見せしても、「今は臭ってないだけ」など、なかなか受け入れてもらえないことも多いです。口臭は目に見えないし、普段は臭わない人でも日によって臭うことがあるので、一度臭いと思い込んだら、いくら「口臭がない」と伝えても、「この先生は本当のことを言ってくれない」と感じてしまうんですね。口臭治療は、原因を突き止めて改善することももちろんですが、問題がない場合でも、メンタル的なケアが重要になることがあります。

■一番多い口臭の原因はだ液

――そもそも、口臭の原因はどんなことなのでしょうか?

福田 主な原因は3つ。糖尿病や逆流性食道炎、悪性腫瘍など身体的な問題に起因するもの、虫歯や歯周病といった歯科的なもの、あとは、だ液によるものです。一番多い原因はだ液で、量の少なさや質の悪さが臭いにつながっているケース。年齢や男女差は関係ありません。


――だ液が口臭に影響するのですか?

福田 だ液中の酸素には、口臭を起こす菌の活動を抑える働きがあるんです。なので、だ液が多いほど口臭が少なくなります。ただ、だ液が濁っていたり、臭いがあったりする場合は酸素があまり含まれていないので、量が多くても口臭を抑える働きが弱くなります。

――自分で口臭をチェックする方法はありますか?

福田 残念ながらないんです。でも、だ液の質を確認することはできますよ。食後、歯磨きなど普段のケアをして2時間ほどたったら、3分間口を閉じてだ液を溜め、そのだ液の臭いを嗅いでみてください。無臭や、食べ物の臭いであれば大丈夫。生臭ささや金魚鉢の水のような臭いがある場合は、口臭につながっている可能性が高いです。

――「自分の手で覆って息を嗅ぐ方法」ではわからないものですか?

福田 その方法は臭いをダイレクトに感じてしまうため、あまり参考になりません。というのも、向かい合って話している場合、息は相手の上半身くらいの範囲に拡散されて届くので、臭いも希釈されるんです。臭いの強い状態を嗅いで気にしてしまうのは、ちょっとチェックが厳しすぎると思います。あと、長時間着けたマスクの臭いから口臭を疑う方もいますが、息の水分や温かさでバクテリアが繁殖して臭っているので、口臭があるとは限りません。

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