つけまつげから靴、家具、お神輿まで、刑務所の中で作っているモノ
覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。
■けっこう役に立ってる「ムショの資格」
もうすっかり秋ですね。秋祭りや文化祭の季節でもあり、各地の刑務所で「矯正展」が開催されます。お祭り大好きな私はワクワクです。我が母校(?)の和歌山刑務所と岩国刑務所も毎年開催しています。
受刑者の作った「刑務作業品」を売ったり、「ムショ飯」を再現したりするんですが、なかなかの人気です。懐かしいですね。全国の刑務所から担当者が来るので、和歌山で函館のグッズも買えるんです。私の担当編集者さんもグッズを密かにいっぱい持っているそうです。
何回か書かせていただいていますが、「懲役」というのは、ムショや拘置所などで「所定の作業」を行う刑罰です。この「所定の作業」には、工場で何かを作ったりするほか、施設内の掃除や洗濯、炊事、差し入れされた本の整理、高齢や障碍のある収容者の介助なんかもあります。
うんとざっくり分けると、工場で何かを作るのは「一般工場」、それ以外は「計算(経理というところもあります)工場」といいます。別に計算するわけでもないんですが、そういう呼び方なんですね。それがさらに「縫製工場」とか「洗濯工場」とかとかに分けられます。ちなみに作業をしないのは「禁固刑」で、悠々自適といわれていますが、そういう人はムショではなく拘置所に収容されます。
受刑者は、こういう作業をしながら資格を取ることもできます。施設によって違いますが、女子刑務所ではネイリストのコースもあります。あとはホームヘルパー、ボイラー技士、危険物取扱者などの資格も取れるんですよ。ちなみに私はフォークリフト運転の資格が取れて、免許証は今も保管しています。宅建の講習も受けました。
今も役に立っているのは縫製です。縫製工場にいた時に、ミシン作業はめっちゃ上達しましたよ。シャバに戻ってからも、地元の「だんじり祭り」の法被(はっぴ)や息子たちのズボンなどを縫っています。