サイゾーウーマンコラム知られざる女子刑務所ライフ女子刑務所の厳しい出産事情 コラム 知られざる女子刑務所ライフ20 「手錠をはめたまま」分娩、生まれてすぐ離れ離れ――厳しいムショの出産事情 2017/09/10 16:00 知られざる女子刑務所ライフ Photo by MIKI Yoshihito from Flickr 覚醒剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。 ■刑務所での出産は自己負担ナシ シャブで逮捕(パク)られる人、相変わらず多いですねー。って、私もその1人だったわけですが(苦笑)。 報道で知った作家のC・W・ニコルさんのお嬢さんの例は、今年の2月にパクられた時、シャブが陽性の上、妊娠されていたとのことで、心配ですね。お母さんの勝手で子どもが傷つくのは、一番ダメですよ……。もう出産されたようですが、いい子に育ってほしいです。 というわけで、今回はムショでの出産についてです。大前提として、刑が確定していない時(拘置所)は自費ですが、確定したら(刑務所)税金から出るので自己負担はナシ。出産のタイミングによって、負担に大きな違いが出ますね。 妊娠3カ月くらいでパクられると、拘置所で中絶するのはお金がかかるので、おろすにおろせず、ムショで出産というのが多いです。そんな時は、たいてい男とも別れてますから、好きでもない男の子どもを産んで、すぐ手放すことになります。 ■1歳半まで獄中育児OKはタテマエ 法務省の統計だと、毎年20人以上の子どもが獄中で生まれているそうです。私もムショでおなかの大きいコは何人も見ましたよ。お風呂とかでも「うわっ、おなか大きなったねえ」「もうすぐやねー」などと、みんなでそれなりになごんだ会話をしてました。食事もみんなよりごはんが多めで、牛乳などの乳製品がついてましたね。 一応、法律では1歳半までムショで育てられるそうですが、そんな人はいてません。所内の保育室には保母さんもいてないし、昼間は刑務作業で工場に行きますから、その間、赤ちゃんは放置されて、せいぜいおむつを替えてもらう程度。もちろんお友達もいてません。せやから、生まれてすぐに親族が引き取るか、設備の整った乳児院へ入れるかのどちらかになります。産んで1週間くらいは一緒にいて、あとは離れ離れがほとんどですね。おっぱいが張るたびに赤ちゃんのことを思い出すんやろうなーと思うと、切ないですね。 次のページ ちょっと前までは「手錠をはめたまま」出産 12次のページ Amazon 女子刑務所 知られざる世界 関連記事 ポン中だって“白馬の王子”に夢中! 女囚たちの愛読書は「ハーレクイン・ロマンス」元女囚が教える「ポン中」の見分け方――半永久的に続く覚醒剤の害幽霊が出やすいのは「刑場」! ムショの怪談話で一番怖いのは……?「そんなに私の裸が見たいんか!」叫ぶおばあちゃんも――クレイジーでおもろい獄中者「福田和子」も被害者? 元女囚が明かす、刑務所で起こったレイプ事件