【連載】別れた夫にわが子を会わせる?

宗教にハマッたイギリス人の夫が暴行、臨月間際で馬乗りに……【別れた夫にわが子を会わせる?】

2017/09/26 15:00
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Photo by Hisakazu Watanabe from Flickr

 『わが子に会えない』(PHP研究所)で、離婚や別居により子どもと離れ、会えなくなってしまった男性の声を集めた西牟田靖が、その女性側の声――夫と別居して子どもと暮らす女性の声を聞くシリーズ。彼女たちは、なぜ別れを選んだのか? どんな暮らしを送り、どうやって子どもを育てているのか? 別れた夫に、子どもを会わせているのか? それとも会わせていないのか――?

第8回 田中千恵美さん(仮名・30代)前編

 クリニックに勤務する田中千恵美さんは30代。7歳と4歳という2人の女の子を、両親のバックアップを得ながら育てている。外国人の夫とは一緒に暮らしていない。夫とはどこで出会い、なぜ結婚し、そして別れてしまったのか?

■宗教にハマっている英会話講師の誠実さに惹かれ

「別居している夫は、イギリス出身の白人です。年は私と同じぐらい。職業は英会話学校のバイト講師です。彼とは日本で、友達のツテで知り合いました。10年ほど前のことだから、20代後半の頃。私自身、留学したことがあって英語が話せるので、出会ったときから意思疎通にはまったく問題がなかったです。友人として彼と付き合うようになってわかったのは、ナチュラル系といいますか、“健全なヒッピー”という感じの人だということ。お酒は飲まないし、タバコも吸わない。カルトというほどではないですけど宗教にハマっていて、バイブルのようなモノを熱心に読んだり、瞑想にふけったりしているんです」


 彼女はなぜ、そんな変わった外国人とお付き合いすることになったのだろうか?

「彼には、相談できるような友人がいなかった。異国で1人きりって大変じゃないですか。だから、かわいそうだと思って、何かと気にかけてあげていたんです。すると彼に熱烈に好かれてしまい、交際を申し込まれました。私には、そのとき恋愛感情はありませんでしたから、『真剣にお付き合いしたいんだったら、その証拠を見せてほしい』って無理難題を彼に言ってみたんです」

 すると、彼は「見せたいものがある」と言って、数日後、田中さんの前に現れた。

「血液検査の結果を持ってきたんです。性病はもちろん、ほかの病気もシロ。ロマンティックさのかけらもないですよね。だけど、むしろそこがよかった。彼のまっすぐな行動に胸を打たれまして、信頼感といいますか、はっきり言うと、恋愛感情を持つようになったんです。それ以来、彼と真剣に交際するようになりました」


わが子に会えない 離婚後に漂流する父親たち