知られざる女子刑務所ライフ16

「そんなに私の裸が見たいんか!」叫ぶおばあちゃんも――クレイジーでおもろい獄中者

2017/07/16 19:00
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和歌山刑務所(法務省ホームページより)

 覚せい剤の使用や密売などで逮捕起訴され、通算12年を塀の中で過ごした後、その経験を基にさまざまな活動を続ける中野瑠美さんが、女子刑務所の実態を語る「知られざる女子刑務所ライフ」シリーズ。

■電柱がおまわりさんに見えたり、虫に襲われたり

 毎日暑いですね。今はムショもだいぶ建て替えられていて、室温の管理も昔ほどひどくはないようです。でも、やっぱりキンキンにエアコンが効いているわけではないので、体調管理は大変です。それに、暑いとか寒いとかだけではなく、もともと閉鎖された空間にいるので、言動がおかしくなる人も多いです。こんな状態で「罪を反省しろ」と言われてもムリですから、再犯者がいなくならないのだと思います。

 獄中でおかしくなる原因は、拘禁障害というノイローゼの一種か、シャバにいた頃のドラッグの後遺症なのか、判断は難しいですね。 急に大声を出したり、バッグの中の荷物から出し入れを繰り返したりする人は珍しくありませんでした。

 たとえばドラッグの後遺症でありがちなのは、「なんでも『人』に見える」とか「たくさんの虫が這ってくるように見える」、あとは「モノがしゃべる」とかいうのですね。私は塀の中では大丈夫でしたが、シャブをやってた頃は、電柱がおまわりさんに見えて外に出られなかったり、タバコを吸う時にマッチ棒が立ち上がって話しかけてきたりしてました。もちろん今はないですよ(笑)。


 ほかにも、一日中、鳩時計の時報をマネして「ぽっぽー、ぽっぽー」と言わはる人、鉛筆でもペンでも注射器に見えるらしく、血が出るまで腕に刺す人なんかもいてはりました。それから、ムショの食事は遅くても10分で食べなくてはならないのに、「味噌汁に虫がいる」と、器をじーっと見る人もいてました。本来ならヘタしたら懲罰ですが、頭が壊れてるのがわかってるので、誰も何も言いません。

セックスレス時代の中高年「性」白書