サイゾーウーマンカルチャー米・LGBT夫婦の妊娠出産インタビュー カルチャー =海外ニュース通信= 米・LGBT夫婦の妊娠出産インタビュー、「家族の意味するもの」をめぐり大反響 2017/09/04 21:30 海外ニュース通信 公開した意図、ネットやLGBTからの反響 ビフに出会ってから、「もし僕らが子どもを持てたら? 僕がそうさせてあげられたら?」という考えを持つようになりました。でもこの、「子どもを持つ」という考えは本当に疲れるもので、しばらく寝かせて、よく考え、そして調べました。ある日、僕はビフに言ったんだ。「僕が妊娠して出産したらどう思う?」って。当初、彼は「そんな最低なこと言うな」って言ってくれた。彼は、僕の個人的な安全を心配していました。 結論を出すのには時間がかかった。数カ月後にビフは僕のところにやってきて、しばらく自分探しをしていたと、打ち明けてきたんだ。それで、もしこれが大事な何かならやりたい、と言ってくれました。 公開した意図、ネットやLGBTからの反響――「それはすごく素晴らしかった」 僕たちのこの経験を公にネットで公開することは、意図的な決定でした。僕たちが目指すのは、今日の僕たちの文化における、トランスジェンダーの活躍とトランスジェンダーへの理解です。僕たちのこの経験を語ることが、何かの進展になるのか? トランスジェンダーの意味を広げるチャンスがあるのか? それとも、これはあまりにも挑発的で、人々をトランスジェンダーへの理解から遠ざけるのか? みんなは僕たちの話を受け入れる準備はできているのか? ――そして僕たちは、ここで何か良いことをするチャンスがあると思った。公開したのは、僕らがトランスジェンダーとしての次のステップへ進む準備が整ったからです。 トランスジェンダーになるということは、自分の体が嫌いだったり、与えられた性で生まれてこなければよかったのに、と思ったり、望む性別になりたかったとの思いがあるとされがちです。でも、それは、トランスジェンダーの全ての人にとっての事実ではない。僕らは僕らであることに満足している。でも、これだって、誰かにとっては事実だけど、全ての人にとっての事実ではない。 僕らに対して、「生まれてくる子どもの性別を決めるのは、やめるべき」だと言う人もいる。彼は男だ、この子は少年だ、とか伝統的な男性的な名前をつけたりするのは、どれもいいことではない、と。僕たちは、統計的に男の子と識別される子どもが産まれます。トランスジェンダーであることは、まだ稀なケースだから、この子はそうでないかもしれない。だとすれば、中性的に育てることは、僕らが性別を与えることより、子どもにとって不満の種になる可能性があるんです。 僕はこういったコメントをネットでもらうこともあります。「私はあなたをジャッジしない、けれど子どもを『人と違うことで非難される世界』に連れて行ってはならない」。とてもショックでした。抑制されてきた僕らが、それを言われたんですから。どうやって僕が子どもをそんな世界に連れていくと? それからこんなコメントもあります。「トランスジェンダーたちが自分たちの課題をアピールしようとしているだけだ」。そしてひどいものだと「お前は変な奴にみえるよ、 赤ちゃんが死ぬことを願ってるよ」「お前はガンの糞だな」。こういう感じのを毎日書かれるんだ。 トランスジェンダーのコミュニティからは、「あなたたちが私たちのことをもっと厄介にしている。人々を混乱させている」などと言われると思ってたけど、それは違った。LGBTの人々から圧倒的に聞く声は、「男であること、トランスジェンダーであること、家族になることの意味を大きくしてくれてありがとう」。 出産前の数週間は本当に大変で、僕は世間から隠れていたい気持ちだったから、注目を浴びるようなことはしたくなかった。でも、僕たちはプライド(ゲイプライド)のために出かけ、「トランスマーチ」と「プライドフェスティバル」に行きました。それはすごく素晴らしかった。LGBTの人々の多くが、僕たちのところに来て僕らのことをネットで読んだよ、と声をかけてくれて、公開したことに感謝してくれたんです。コーヒーを飲みに行けば、バリスタが僕に「Facebookで見たよ」と言ってくれる。 BuzzFeed Newsより トランスジェンダーの家族として――「違うことは平気なんだ、とだけは伝えています」 僕はDaddy、ビフはDadaと子どもたちから呼ばれるけど、「Dad」と子どもが呼ぶこともあるんだ。子どもたちが食べ物のことを聞くときに「Dad」と言ったら、それはビフのこと。「お父さん アイスキャンディー食べていい?」これもビフ。「お父さん、サッカーボールを蹴って?」 これは僕だ。これは僕がすることだから。 ビフ(パートナー):子どもたちは、何が起こっているのかを十分に認識しています。僕たちはいつも、トランスジェンダーの親や、そういう家族を持つことの意味について彼らに話します。ネガティブな側面をたくさん共有しているわけではありませんが、みんなが「違う」と思ったことでも、「違うことは平気なんだ」ということだけは伝えています。「違うということが間違いではない」と。彼らは理解し賛成してくれています。 トリスタン:赤ちゃんを持つトランスジェンダーの男性は、たしかに世間的に少数だと思います。でも、今後も確実にそういう人は現れるし、そもそも過去にもあったことだから、僕らが「最初のカップル」というには程遠いよ。もっとたくさんの人たちに、支援してくれたみんなのおかげで僕が手に入れられたような“場所”を見つけてほしい。 そうゆう場所を取り巻くネガティブな侮辱も減ることを願ってる。もうみんなが「じゃあ、お前は本当の男じゃないんだな」なんて言わないことを。 (抄訳・構成/藤子留美加) 前のページ12 最終更新:2017/09/06 21:20 Amazon 男らしさ・女らしさって何? (こんのひとみ心の言葉) 「違うことが間違いではない」3回唱えて心に刻むわ 関連記事 家族の作り方はひとつじゃないわよ? 『キッズ・オールライト』のリアリティー自分の中の差別意識を見つめ直すために ゲイアートの巨匠が問いかける、LGBTを取り巻く社会 「愛してるよ! 部屋、片付けろよ!」、LGBTの子を受け入れた両親の新聞投稿が感動的ゲイで黒人の自分も「そういう存在」だから――はみ出し者が扉を開く映画『ぼくと魔法の言葉たち』アメリカの「ゲイビーブーム」とは? 生殖ビジネスの先進地における同性カップルの子育て 次の記事 「SMAPと同じ文言」とタキツバ文面が話題に >