「女の話はつまらないって言うけど」シソンヌ・じろうが語る、男の脳みそと女の面白さ
女芸人や女性タレントによる、“めんどくさい女”あるある的な笑いがテレビにあふれている昨今。そんなとき、だいたいの男性タレントや芸人は「いるいる!」とうれしそうに、男目線でさらにエピソードを重ねて場を盛り上げている。しかし、それとはまた違ったアプローチで、女を素材に表現する芸人もいる。中年女性の約2年間の日記として小説『甘いお酒でうがい』(KADOKAWA)を執筆し、現在も「私」として女性に擬態し綴る、“妄想短編小説”「あの子が故郷に帰るとき」をwebサイト「雛形」で連載するシソンヌ・じろう氏に、女の面白さ、女と男の「おもしろい」の違いについて話を聞いた。
――『甘いお酒でうがい』で、中年女性を主人公にしようと思ったきっかけはありますか?
じろう シソンヌのコントで「川嶋佳子」という女性のキャラをずっとやっているんですが、彼女のキャラが立っていたので、「川嶋佳子として携帯サイトで連載してみませんか?」と吉本(興業)の担当の方に言われたのが始まりです。だから、自分から「書きたいです!」と言ったわけではなくて。女性を書くというより、川嶋佳子だから書いてみた感じですね。
――その川嶋さんは、46~48歳の独身OL。若い子やタレントなど、キャッチーな設定にしなかったのは、何かこの世代の女に思い入れがあったんでしょうか?
じろう 電車に乗っていて、おめかししてるおばさんを見ると、たまらない気持ちになるんですよ。「今日、銀座とか行くために、この格好を選んで来たんだな」って思うと、すごくカワイイなって気持ちになるんです。ワクワクするというか。そう意味では、若い女性とかよりも、おばさんが好きですね。それは熟年女性が好きっていうのではなく、年取ってもオシャレしたい、自分をよく見せたいという気持ちがあるのが、カワイイなって。おじさんも、帽子だけオシャレな人がいたりすると、奥さんに「これ被りなさい」って言われたのかなって、ワクワクしますね。服は全然ダサいのに、帽子だけオシャレな人とか。あと、リュックしょってるおじさんも好きです。
――川嶋さんも、日常の小さな出来事を、いちいちちゃんと1人で味わってるのがかわいかったです。出産や年齢に対する感覚もリアルで、男性が書いてるのに、そこをイジらないのは逆に意外でした。
じろう 50代くらいでも結婚されてない女性は多いですよね。そういう人に、「結婚してないんだな」「子ども生まないんだな」って思うのが、普通の男性の見方だと思うんですけど、意外と女性はそんなこと考えてなくて、「自分は自分の人生を楽しんでるわよ」っていう気持ちなんじゃないかなって。僕の想像の中の話なんですけど(笑)。あと、そういう女性に会うことが多かったんですよ。結婚も子どももいなくて、でもしゃべると面白いっていう。そういう人の方が輝いて見える、っていうのが自分の中にありましたね。