レイプクライシスセンターTSUBOMI代表・望月晶子弁護士インタビュー

詩織さんがレイプ被害を訴えても、“110年ぶり刑法改正”でも変わらない、被害者への視線

2017/07/26 15:00
OLYMPUS DIGITAL CAMERA
弁護士の望月晶子さん

 7月13日、性犯罪を厳罰化する改正刑法が110年ぶりに施行された。それまで「強姦罪」の名称だったものが「強制性交等罪」に変更、被害者の告訴が必要な「親告罪」の規定が撤廃された。法律が変わることは大きな一歩のように思えるが、実際の現場ではどうなのだろうか? 『あさイチ』(NHK)の性暴力特集に出演した、NPO法人レイプクライシスセンターTSUBOMIの代表で弁護士の望月晶子さんに、性被害の現状について聞いた。

■ワンストップセンターは、警察に出向かなくても支援が受けられる

――先日、望月さんがNHKの『あさイチ』に出演された際、視聴者から「なぜ死ぬ気で逃げなかったんだ」「本気で逃げようと思えば逃げられるはず」といった性暴力の被害者を責めるような意見のメールも届いていました。なぜ、被害者が責められる傾向にあるのでしょうか?

望月晶子さん(以下、望月) 「必死で抵抗して貞操を守るもの」といった昔の考えがあるからだと思います。また、「狙われるのは若い女性だけ」「露出の多い格好をしているから狙われる」などと思われがちですが、実際、加害者は警察に訴えそうにない「おとなしい人」を狙っています。

――番組では、被害に遭ったら「性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」に問い合わせるようおっしゃっていましたが、どのような支援をしてもらえるのでしょうか? ワンストップセンターの存在自体を知っている人も、少ないように思いますが。


望月 ワンストップセンターができたのが最近のことなので、多くの人にはまだ知られていないと思います。内閣府のホームページをご覧になるとわかると思うのですが、ワンストップセンターは被害者が電話で問い合わせると、面談を受けられたり、必要な治療や情報を提供してもらえたりする場所です。警察に出向かなくても適切な治療を受けられるという支援を目指しています。各都道府県に1つは作ることを目標に、現在は全国に40近くあります。

性暴力被害者への支援: 臨床実践の現場から