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神戸山口組組長がスマホ詐欺容疑で逮捕! 他人名義で携帯を契約したら犯罪?

2017/06/07 20:50
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Photo by Tony Alter from Flickr

「ドラマのこのシーンってありえるの?」「バラエティーのあのやり方ってコンプライアンス的にどうなの?」……テレビを見ていて感じた疑問を弁護士に聞いてみる、テレビ好きのための法律相談所。

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神戸山口組組長が逮捕された「知人名義で携帯電話の契約」は何が問題?

 6月6日、指定暴力団神戸山口組の井上邦雄組長が、詐欺容疑で逮捕された。井上容疑者の逮捕容疑は4年前、神戸市灘区の携帯電話販売店で、自分で使うことを隠して知人女性の名義でスマートフォンの機種変更契約をしたというもので、「知人が契約した携帯電話を使っていた」と容疑を認めていると報じられた。では、他人名義での契約で、何をだまし取ったことになるのか? アディーレ法律事務所の時光祥大弁護士に聞いた。

 時光弁護士によると、この場合だまし取ったものは、「携帯電話本体」ということになるという。


「詐欺罪が成立するには、(1)だます行為(欺罔<ぎもう>行為)、(2)勘違いすること(錯誤)、(3)財産の交付、(4)財産的損害の発生という流れが必要です。

 まず、本当は、携帯電話を神戸山口組の組長が使用するつもりなのに、それを伏せて、あたかも知人女性が使用するかのように申し込んだことが欺罔行為(1)です。神戸山口組の組長が使用するつもりだと申告する義務があったということになります。そして、電話販売店の従業員は、知人女性が利用するものと錯誤(2)し、携帯電話本体という財産を交付(3)してしまいました。そして、携帯電話会社は、その携帯電話本体を販売した、つまり失ったことで、財産的損害が発生(4)しました。なお、詐欺罪では、仮に正規の料金を払ったとしても、携帯電話本体を失ったこと自体で財産的損害が発生したと考えます」

 では、親や子、配偶者などの名義で携帯を契約して使用している場合も罪になるのだろうか?

「購入の際に、子どもや配偶者が使用すると申告して購入していれば、そもそも欺罔行為はありません。また、仮にそういった申告をしていなくても、一般人の家族が使うのであれば、携帯電話販売店もおよそ拒否しないでしょうから、申告する義務はなかったとして、やはり欺罔行為はなかったと考えられるのではと思います」

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