サイゾーウーマンカルチャーインタビューLGBTや内縁関係でも入れるお墓 カルチャー 證大寺・井上城治住職インタビュー 「墓じまい」がはやる時代の供養の形ーーLGBTや内縁関係でも入れるお墓が生まれたワケ 2017/04/25 15:00 インタビューお墓参り仏教 證大寺の井上城治住職 遠い場所にお墓があるため管理が大変、自分の代以降管理をする人がいないといった理由から、近年、墓を片付ける“墓じまい”がブームとなっている。一般的には子孫が続いていく前提で作られている先祖代々の墓。しかし、多様な生き方が世に認められつつある風潮を受け、外国人や友人同士、LGBTのカップル、籍を入れていない内縁の夫婦など、どんな間柄でも入れる「関係性を問わないお墓」に取り組んでいるのが證大寺。證大寺の住職、井上城治さんに、最近のお墓の問題や同寺独自の取り組みについて話を伺った。 ■お墓の伝統的な仕組みが時代に追いついていない ――墓じまいブームや、Amazonでお坊さんの派遣が登場するなど、近年はお墓に関する新しい取り組みも登場しています。これらからわかる最近の、お墓の問題について教えてください。 井上城治住職(以下、井上) お墓は代々家族で継承していくものだったのが、現在は核家族化や少子高齢化の進行で、そのような前提条件が整わない方も増えてきました。だから、墓じまいがはやっているんです。 お墓がある人は、まだいいんです。実は、東京に暮らす団塊の世代の方たちで、お墓がない方がけっこういるんです。みなさん地方から東京に出てきて、一気に人口形成したわけですから、生まれも育ちも東京という人は、団塊の世代ではまだ少ないです。その方たちは実家にお墓があったのですが、東京で家のローンを払いつつ、子どもも東京の郊外に住んでいるとなると、もう実家に帰ることはほとんどありません。実家にお墓があっても、独立した人は帰りづらい。あとは逆に言うと、本家自体から東京へ来ている人は、もう帰らないからお墓を整理したいと思っている。だから、新しくお墓を買うという人はまれですね。 ――お墓を片付けたい人が多いなか、證大寺側では何か対応を行っていますか? 井上 私どもはお寺を構えているのですが、埼玉県東松山市と千葉県船橋市で霊園を運営しています。「子どもがいなくて墓を継承する人がいないので、自分が生きているうちに片付けたい」という要望を受けまして、霊園内に3年前、永代供養墓を建立しました。我々はそのお墓を「浄縁墓」と呼んでおります。既存の約1万2,000の墓から、1,000人ほどが浄縁墓に移られました。なかにはお子さんがおられる方もいましたが、「子どもに負担をかけたくないから、自分が生きているうちに整理したい」という方も多かったですね。お墓の伝統的な仕組みが時代に追いついていないというのが、近年の問題だと思います。 次のページ 永代供養墓でも夫婦一緒に入りたい 1234次のページ Amazon 宮本常一 日本の葬儀と墓―最期の人生行事 関連記事 「継がなくていいお墓が増えていく」 葬儀と遺骨の行方はどう選ぶべきか母をお墓に入れられない理由とは? 認知症の母親を見送った息子の戸惑い対話を求めるファンが集う祝祭空間に! あの有名人のお墓はやっぱり凄かった!今年は「お遍路さん」の御利益が3回分!? 女性が殺到する人気の秘密日本最大の「寺社フェス」に女性が殺到! 仏教や伝統文化が女性を癒やすワケ