サイゾーウーマンカルチャーインタビュー「犬畜生」がもたらす老後の生きがい カルチャー アマノ・アニマルセラピーサークル代表・天野喜美子氏インタビュー 「犬畜生だと思ってた」偏屈オヤジも夢中に――アニマルセラピーがもたらす老後の生きがい 2017/04/15 15:00 インタビュー介護 訪問のときに連れて行くのは、今は犬だけ ——その後は、どういう活動をされてきたのですか? どんな動物を連れて行かれたのでしょうか? 天野 それからも私ひとりでうちの犬と猫を連れて定期的に訪問していたのですが、ひとりでは間が持てない。そこでお仲間をつくろうと思いました。獣医師で動物病院を経営していた夫亡き後の寂しさもあり、生き甲斐としてアニマルセラピーをライフワークにしようと思っていたので、うちの動物病院に来ていた患者さんや病院のスタッフ、知り合いを誘ったり、近くにある駒沢公園に行って、犬を連れた人にも声をかけました。その頃、私がノーフォークテリアを飼っていたので、同じ犬種を連れた人を誘い、メンバーが少しずつ増えていきました。 その後は、メンバーの1人が始めたブログを見て参加する人や、世田谷区の区報に載せた告知の効果で人数が増えました。現在、活動としては、20年以上、毎月1回必ず伺っている介護老人保健施設「ホスピア三軒茶屋」のほか、2カ所の有料老人ホームと、年1回、重症心身障害者施設にも訪問しています。 訪問のときに連れて行くのは、今は犬だけです。以前は猫も連れて行ったことがありましたが、猫はどんなに人になれている子でも、知らない場所に連れて行くと隠れてしまったりするので難しいですね。 ——現在、メンバーの方は何人くらいいらっしゃるのでしょうか? また、参加する犬には、特別な訓練を施していますか? 天野 今、サークルのメンバーは27名。いつでも全員が参加するわけではありませんけれど。登録している犬は22頭です。すべてメンバーの飼い犬です。犬たちにはセラピーのための特別な訓練はまったくしていません。ただ、人が好きで性格的に落ち着いた子、嚙んだり、吠えたりしないこと、膝に乗せてもおとなしくしているような子に参加してもらっています。 特別な訓練をしなくても、犬たちはよく理解しています。訪問したとき、高齢者の方に犬を紹介する際には、必ず「セラピードッグの○○ちゃんです」と言います。そうすると、犬なりに自覚するんです。私がアメリカで作ってきたセラピードッグのユニフォームを犬たちに必ず着せるのですが、それで犬自身もセラピードッグとしてのお仕事モードに入るのか、キリッとしますね。 また、初めての訪問でも、ほかの犬がやっているのを見て、しっかりマネをします。だから最初でもちゃんとやり遂げることができますね。今まで20年以上の間、人を嚙んだり、何か事故を起こしたりというトラブルは、一度も起きていません。 次のページ 動物がいるだけで、高齢者は自然な笑顔に 前のページ123次のページ Amazon 知りたい! やってみたい! アニマルセラピー 関連記事 犬猫が認知症を改善⁉︎ 特養の高齢者にもたらすメリット「動物への愛情だけではない」ビジネスとして見る、“生体販売をやめたペットショップ”のあり方「ペットブームは嘘」減少たどる犬の飼育頭数、ペット産業が抱える“悪循環”のウラ側「高齢者は弱者」という幻想を暴いた、『老人たちの裏社会』著者が語る“老いの孤独”認知症介護の終末に「幸せな死=ハッピーエンディング」はあるのか?