サイゾーウーマンカルチャーインタビュー“天才作家”が世界を騙した理由 カルチャー 映画『作家、本当のJ.T.リロイ』主演ローラ・アルバートさん、インタビュー 「SNSで自分を装うことは、安心感にも中毒にもなる」世界を騙した“天才作家”が嘘をついた理由 2017/04/09 15:00 映画インタビュー虐待 ■映画『作家、本当のJ.T.リロイ』で伝えたいのは“真実の語り方” ――2006年にJ.T.リロイの正体が暴かれますが、それまでの期間、怖くなかったですか?いつバレるかという気持ちになったことは? ローラ いつかはわかってしまうだろうと思っていました。不治の病の子を育てているような気持ちというか、いつかお別れの日が来るとわかっているけど、一生懸命育てるしかないという感じですね。私の中では、誰かが暴くであろうことはリアルでしたけど、自分からJ.T.リロイをやめるわけにはいかなかった。ただ暴かれた時期が、あのときより前じゃなくてよかったです。なぜなら私は、暴かれても大丈夫なように、心身ともに準備ができていたから。外見が痩せてコンプレックスが多少消えただけではなく、それに耐える心の準備も整っていました。人は見た目だけが変わっても、心が整っていないと、真に変わることはできません。 ――もうひとりの自分という意味では、今、日本でもSNSの流行により、真実の姿よりもよりよく見せよう、いい生活をしているように見せようと、偽りの自分というか、外見を装うことに夢中になる人もいます。そういう傾向を、ローラさんはどう思われますか? ローラ ある人にとっては、真実よりも華やかに装うことが安心感につながると思いますが、人によってはドラッグやアルコールのような中毒にもなります。私がJ.T.リロイをやっていたときは、それが私にとっての酸素のようなものだったのです。でもそのアバターの世界が輝きを失ってくると、パートナーや子どもを悲しませ、苦しませることになります。アルコール中毒の人が、家族に隠れてお酒を飲み続けるようなものです。自分自身を知ってもらうために、真実よりも少しよく見せようとすることは悪くないと思いますし、SNSは便利な道具でしょう。でも、よく見せようとした自分が暴走し始めて、自分じゃなくなっていったら、それは危険だと思います。 ただ、時代は変わりました。以前は、女性が権力を握ったり、男性が女性的なものを好んだりすることはよくない、恥だと思わされていたのですから。そんな恥は取り除くべきです。本当の自分は、ひとつじゃありません。人間にはいろんな面がありますから、それを認めることも大事。アメリカもトランプ大統領が変なことをしなければ、私のような人間でも大丈夫でしょう(笑)。 次のページ 作家としての今後 前のページ1234次のページ Amazon サラ、いつわりの祈り [DVD] 関連記事 生田斗真、身長を“偽装”!? 記者の間で「シークレットシューズ着用説」ささやかれる加藤紗里が、なかなかテレビから消えないワケ――“SNS有名人”という新らしい在り方「SNSで自慢する女」への嫌悪感を語る横澤夏子、その裏側に見える“見下し”の目線MJの長男が、奇妙な仮面をつけられていた幼少期や児童性虐待疑惑について率直な思いを語る年間30人以上の子どもが親に殺されている 親子心中事件は、なぜ起こるのか?