サイゾーウーマンカルチャーインタビュー“天才作家”が世界を騙した理由 カルチャー 映画『作家、本当のJ.T.リロイ』主演ローラ・アルバートさん、インタビュー 「SNSで自分を装うことは、安心感にも中毒にもなる」世界を騙した“天才作家”が嘘をついた理由 2017/04/09 15:00 映画インタビュー虐待 虐待され、精神が解離したことでJ.T.リロイは生まれた ――別名で小説を発表することは、作家として珍しいことではありませんが、なぜペンネームだけでなく、「J.T.リロイ」を実在の人物として創り上げたのですか? ローラ 70年代のアメリカでは、児童虐待の話などは、あまり公にならなかったんです。映画でも語っているように、私はずっと虐待を受けており、そのことを人には言えませんでした。でも、学校で同じような虐待を受けている子の話を聞くことがあり、それが金髪で青い瞳の、きれいな男の子だったのです。一方、私は太ったユダヤ人の女の子。私みたいな子は、虐待されても誰も助けてくれないんだと思い込んでいました。 そんなときに、私の心の中に金髪で青い目の男の子が出て来たのです。虐待を受けた子どもにありがちな精神の解離が、私の中で起こったのですね。私なりに助けを求めていたのですが、誰も助けてくれなかったから、私は自分の中にいるその男の子に、虐待の事実を語りました。私は性同一性障害ではありませんが、その男の子は確実に私の中に存在し、外に出たがっていたのです。そのときに、私のそばに元夫の妹サバンナがいたので、「男の子」は彼女のボディを借りることにしました。 ――ローラさんの心の中にいる男の子が、サバンナさんの体を借りていたのですね。でも、サバンナさんをJ.T.リロイとして演出していたのはローラさんですよね。 ローラ そうです。最初はしゃべり方の指示を出して、練習もしていました。でもそのうち、私の心の中にいたJ.T.リロイが、少しずつサバンナに移っていくような気がしました。そしてサバンナは、私が指示しなくても、リロイとして自然に話せるようになっていったのです。不思議なことに、男性のようにヒゲまで生えてきたんですよ。これは私だけじゃなく、メーキャップアーティストも語っていました。体形も変わり、生理もこなくなり、サバンナは自分が同性愛者であることをJ.T.リロイになって知ったのです。 私自身のセクシュアリティは、虐待を受けたときに失い、私にとってセックスは意味のないものになっていました。そんなふうになってしまうのだから、やはり虐待は人の心と体に大きなダメージを植え付けるものなのです。その虐待の痛みもJ.T.リロイに現れ、サバンナは自分のスピリットに語りかけるだけで、J.T.リロイとして存在できるようになった。まるで憑依したようでしたね。 次のページ ■映画『作家、本当のJ.T.リロイ』で伝えたいのは“真実の語り方” 前のページ1234次のページ Amazon サラ、いつわりの祈り [DVD] 関連記事 生田斗真、身長を“偽装”!? 記者の間で「シークレットシューズ着用説」ささやかれる加藤紗里が、なかなかテレビから消えないワケ――“SNS有名人”という新らしい在り方「SNSで自慢する女」への嫌悪感を語る横澤夏子、その裏側に見える“見下し”の目線MJの長男が、奇妙な仮面をつけられていた幼少期や児童性虐待疑惑について率直な思いを語る年間30人以上の子どもが親に殺されている 親子心中事件は、なぜ起こるのか?