コラム
今井舞の「週刊ヒトコト斬り」

あっけなく掠め取られた、安田美沙子にとって唯一の商売道具

2017/03/31 21:00

――毒舌コラムニスト・今井舞が、話題のアノ人物やアノニュースをズバッとヒトコトで斬り捨てる!

◎意外な結末
 ずっとはんなりで飯を食ってきた安田美沙子。マラソンやってはんなり。競馬やってはんなり。愛犬の名前は「はんな」、命名した競馬馬の名前も「ハンナリト」。

 結婚しても妊娠しても不倫されても、はんなりはんなり。このマインドを使いこなせる人間は私以外にいないという自負の元、灰になるまで席を独占のつもりが、とんだルーキー現る。

 吉岡里帆。お茶のCMで見せるカワイイはんなりの世界観。これまで安田美沙子が、嗤われながらも1人でコツコツ築き上げ、死守してきた椅子が、たった15秒で奪われるとは。吉岡本人が、そこまではんなりに拘泥してないというのがまた皮肉である。美沙子はん、おきばりやす……。

◎着火失敗
 渡辺謙、不倫。えー……。確かにビッグネームのスキャンダルなのだが。「ひどい、そんなふうに見えなかったのに! ダマされたわッ!」的な即点火にはつながらず。だってイメージ遠いんだもん。

 お相手は元ナンバーワンホステス。田中みな実似。この要素だけで、ほかの俳優だったらかなりの火薬量だが。「数々の闘病」「南果歩との夫婦の絆」「アメリカで役者として大成功」と、心地いいエピソードで固められ続けてきた結果、脳がなかなかついて行けず、発破なし。

 今から書き換えめんどくせー。その上、きっとしばらく帰国しないし。夫婦どっちも。向こうで仕事に邁進し、その間も南果歩はデキた嫁として振る舞い続け、間に闘病もして、忘れた頃にご来日と。ハリウッド・スターは咀嚼する相手にあらず。ただ崇めるのみ。あんな帽子被ってNY歩かれたらもうさぁ。その方がラクだもの。そうして、ケン・ワタナベは続いてゆく。

◎自主規制
 早くも今年の流行語大賞ノミネートが確実視されている「忖度」。言われる前に相手の気持ちを汲み、推し量って行動する。下々の者が上の人間に対し行うことが多い。何を隠そう私もその空気の経験者だ。

 テレビ改編期毎に、ドラマ批評の仕事をさせてもらってるのだが。とある雲の上の方々の原作ドラマは、取り上げないことになっている。理由は特にない。特に雲の上から直接何かお達しがあったわけではない。そうではなく、何かお達しがあるような事態になったりしたら大変じゃい、という、下々の推し計らいの結果なのである。雲上は、そんなお達しが出されていることさえ知らないだろう。本人も知らないレベルで行われる、それが忖度。気を使われていることに気づかないほど、気を使われることが日常化。そんな人間の周りで、今日も忖度は行われている。一度でいいから、されてみてぇ。

今井舞(いまい・まい)
週刊誌などを中心に活躍するライター。皮肉たっぷりの芸能人・テレビ批評が人気を集めている。著書に『女性タレント・ミシュラン』(情報センター出版局)、近著に『気になる「あそこ」見聞録』(新潮社)がある。

最終更新:2019/05/21 20:35
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