第一線へのカムバックをかけて……

あのトーニャ・ハーディングも参戦! 意外な名勝負が多い、セレブのボクシング対決

2017/03/05 21:00

■イギリスの人気コメディアン リッキー・ジャーヴェイス VS 実業家のグラント・デボン

 皮肉たっぷりなブリティッシュ・ジョークが得意で、アメリカでも知名度が高い英コメディ界の大御所リッキー・ジャヴェイスと、英人気司会者アンシア・ターナーを妻に持つ実業家のグラント・デボンがボクシングの試合をしたのは02年のこと。チャリティー団体「コミック・リリーフ」が主催した、ボクシングマッチの選手として抜てきされたのだった。

 リッキーは「引き受けたのは、笑いを取りたいから。それとトレーニングで引き締まった体を手に入れられるのを期待してね」と笑顔。グラントは「鼻が心配だな~」と大笑い。2人とも最初は「しょせんチャリティーだし」と余裕をかましていた。

 しかし「コミック・リリーフ」は、2人のもとに一流のトレーナーを派遣。トレーナーたちは「セレブ」だからと手を抜くことなく「遊びじゃないんだぞ!」とハッパをかけた。トレーニングが進むにつれ、2人の顔から笑顔が消え、ジョークを言う余裕がなくなっていった。

 試合は、イギリスの有名人・著名人らが見守る中で行われ、BBC局で生中継。試合前は司会進行役やセレブ観客へのインタビューなどリラックスした笑いがあったが、入場した2人は超ピリピリ。試合自体も、思いのほか真剣な勝負となり、大いに盛り上がった。2人の力は互角で、試合は判定にもつれ込み、その結果、リッキーが勝利。5,000ポンド(約70万円)のファイティングマネーを手に入れたリッキーは、全額、がん専門看護師「マクミラン・ナース」の育成費として寄付した。


俳優のジェレミー・ジャクソンとラッパーのクーリオ

 90年代に大ヒットしたテレビドラマ『ベイウォッチ』に出演していたジェレミー・ジャクソン。天才子役として人気を博し、アイドル誌の表紙なども飾ったが、薬物・アルコール依存症のため度々問題を起こしていた。その後、クリーンになったと証明するべく、ボクシングに挑戦することに。

 一方のクーリオは、カリフォルニア州の超危険地区コンプトン出身のハードコア・ギャングスタラッパー。映画『デンジャラス・マインド/卒業の日まで』(95)の主題歌「ギャングスタズ・パラダイス」が爆発的なヒットとなり、グラミー賞を獲得。しかし、以降、問題ばかり起こすようになる。98年に窃盗・暴行罪で逮捕、有罪に。01年と09年には銃刀法や薬物法などで逮捕、有罪となっており、ジェレミー同様、ボクシングをきっかけに更生を誓う形となった。

 そんな2人の試合「Celebrity Fight Night」は11年11月に行われ、ネットテレビ「FILMON.com」で世界中に配信された。試合の2カ月前に行われた会見でのジェレミーは異様にテンションが高く、冷ややかなクーリオとは対照的。ジェレミーはシャツを脱いで筋肉を見せびらかしたが、クーリオはシャツを脱ぎたがらなかったため「体形に自信がないのだろう」「筋肉なんてないのでは」「ジェレミーは、まだステロイドをやってるんじゃないか!?」と話題に。クーリオは当時48歳。ジェレミーは31歳とかなりの年齢差があるため「クーリオがストレート負けするだろう」と予想された。

 試合直前まで2人のテンションには温度差があり、まともな試合にならないのではないかと懸念する声も出たが、開始してみるとクーリオが大健闘。ボクシングというよりケンカのような動きでジェレミーをボコボコに殴り圧倒した。最終的には年配のクーリオのスタミナ切れでジェレミーにノックアウトされたのだが、「なかなか見応えのあるセレブ・ボクシング」として語り継がれるようになった。


 ボクシングをカムバックのきっかけにしたかったジェレミーだが、その後もキャリアは低迷。12年4月には男性を刺し逃走。これは正当防衛が認められたが、相手に177針も縫う大けがを負わせてしまい、大ニュースとなった。15年8月にも女性と口論の末、背中を刺し、逮捕されて有罪に。2カ月間服役した後、リハビリ施設に入ったと報じられている。

 一方のクーリオは、この試合後、ラッパーからプロの料理人への転身を本格的に考えるように。13年には「ギャングスタズ・パラダイス」を含む自身の123曲の著作権を売りに出し、手にした大金でシェフに専念すると宣言した。しかし、昨年9月には、ロサンゼルス交際空港の荷物検査でバックパックに入れていた拳銃が見つかり、逮捕、翌月、3年の保護観察に処されてしまった。

 

最終更新:2017/03/05 21:00
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